2016年 反核平和新春のつどい 軍産学連携―科学への人々の信頼を失う
反核平和運動の旗びらきとも云える「2016年反核平和新春のつどい」が1月10日、民主会館で開かれ、60人の参加者が池内了名古屋大学名誉教授の記念講演に耳を傾けました。
「日本における軍産学連携の進展について」と題して講演しました。
池内氏は、戦後、「軍」(軍隊)と一線を画していた「学」(大学・研究機関)ですが、35の国公私立大学および民間研究機関が、1959年から67年にかけて米軍の機関から研究資金援助を受けていた事実を明らかにしました。1990年代以後、軍学共同を拡大していく日本政府ですが、安倍政権になってその動きが顕著になっているといいます。「軍と学」の接近がもたらすものは何か――池内氏は、大学の自治が侵され、学問の自由が脅かされることをあげ、「何よりも、科学への人々の信頼が失われる」と警鐘を鳴らします。「軍」の動きについては「学術予算の貧困につけ込む行為」と批判、「研究者版『経済的徴兵制』」と指摘しました。
池内氏は最後に、研究者の良心を売り渡す行為を憂いて、ガンジーの言葉――「人格なき学問、人間性が欠けた学術にどんな意味があろうか」を披露し、「市民による監視・批判が必要」と講演を結びました。