ノーモアヒバクシャ愛知訴訟 地裁からの逆転勝訴!

3/7 名古屋高裁

3月7日、名古屋高等裁判所民事第4部(藤山雅行裁判長)は、長崎で被爆した山田初江さんと高井ツタヱさんの姉妹が原爆症であることの認定を求めた裁判で、第一審の判決を覆して、認定申請を却下した国の判断は誤りであったことを認めました。

原爆症認定制度は、被爆者が原爆放射線のせいで病気になった場合(放射線起因性)で、なおかつ現に医療を必要とする状態にある(要医療性)と厚労大臣が認定した場合に、医療の給付や手当が支給されます。

2003年から始まった原爆症認定を求める集団訴訟は、被爆者306名が原告となり、全国の裁判所に国を相手に裁判をたたかいました。裁判では被爆の実相を明らかにし、被爆者の連戦連勝の結果、認定者が被爆者の1%にも満たなかった原爆症認定制度を抜本的に改めさせることができました。そして再び裁判で争うことのないようにと、当時の麻生首相との間で「確認書」が取り交わされました。

しかし、厚労省は放射線被曝の影響の過小評価を続けたため、全国で100名以上の被爆者が裁判で再びたたかわざるを得ませんでした(ノーモア・ヒバクシャ訴訟)。

愛知では、2011年11月、4名の被爆者が提訴、一審の名古屋地裁は、全員の放射線起因性を認めましたが、高井さんら姉妹には、要医療性について不当な判断を行い敗訴となっていました。
控訴審の藤山裁判長は、「経過観察のために通院している場合も『現に医療を要する状態にある』と認めるのが相当」と指摘し、逆転勝訴を言い渡しました。被爆者援護法の趣旨に合致した解釈であり、要医療性を狭くとらえている国の運用も厳しく批判したものといえます。
高井さんは、病気がうつると差別され職を転々としたことや、名古屋に移り住み、結婚した夫には亡くなるまで被爆者であることを隠し続けた苦しい時期を振り返り、「今日が出発点です。核のない世界、戦争のない世界をめざして、命果てるまでがんばっていきます」と新たな決意を語りました。

高井さんの地元の緑区の方をはじめ多くの支援者のおかげで逆転勝訴を勝ち取ることができました。

上告期限は、3月22日です。全国から厚労省に上告するなの要請を集中しているところです。
被爆者の平均年齢は80歳をこえています。日本被団協は、現行の認定制度を廃止し、すべての被爆者に手当を支給し、放射線の影響が未解明であることから、距離などの被爆状況で区別せず、放射線の影響が認められた病気の度合いに応じて手当を加算する制度を提案しています。

しかし、ノーモア・ヒバクシャ訴訟での多くの敗訴判決にも関わらず、厚労省の被爆者の救済に消極的な姿勢は変わっていません。

この判決を契機に、訴訟の解決と被団協の提言の実現、全ての被爆者を救済する制度を作る運動と闘いに多くの方がさらにお力を貸していただけるようお願いいたします。