原水爆禁止世界大会が閉会

核兵器禁止条約の発効へ世論と運動を強めよう

8/6 閉会総会2

原水爆禁止世界大会・広島大会が8月4日から6日、広島市内で行われ愛知県からは200名弱(国際会議、長崎大会を含む)の代表団が参加しました。今年は、核兵器禁止条約採択後の初めての会議となり、条約批准に向けて大きな前進を作るための大会となりました。

とりわけ大会総会では、総がかり行動の福山共同代表から「今日は、原水禁の代表ではありませんが、『安倍9条改憲』では共同を強め運動の高揚を作り出している。核廃絶の運動も分裂の時代から共同の時代へと変化している」と共同の広がりを実感します。

またオール沖縄会議の山本事務局長からも新基地建設の矛盾が広がる中、埋立承認撤回と県民投票で基地建設阻止へ大きな連帯を全国からお願いしますと訴えました。

今回の大会は、①条約発効に向けて激しいせめぎ合いのもと、核保有国の圧力に負けない世論と運動をつくりあげること②南北、米朝会談など朝鮮半島の大きな前進があるもとで抑止力が破綻しつつある③沖縄と連帯しよう、東京、北京五輪で非核平和の発信をするなどを中心に議論が行われ、4つの行動提起(①国際署名の推進②被爆の実態の普及③核軍備強化反対④国連軍縮週間とNPT準備会議への国際共同行動)が呼びかけられました。

 

分科会 「非核平和の朝鮮半島とアジアー日本の役割」

4人のパネリストが最初に発言したパネル討論会でした。

アメリカの平和運動家ジョセフ・ガーソンさん、韓国の労働組合役員パク・ソクミンさん、中国の社会科学研究者チェン・ジュさん、日本の原水協常任理事川田忠明さんが、それぞれ自国の現状と問題点、運動発展の方向を報告しました。また、途中、韓国の医師の集団、歯科医師、学生、薬剤師らが激励に駆け付け、代表者があいさつしました。

ジョセフ・ガーソンさんは核兵器禁止条約ができた後のアメリカでの運動を紹介しました。
チェン・ジュさんは、世界大会の場であり、強制連行されていた韓国の人々も被爆していることを忘れないでほしいと訴えられました。

川田さんは、日本政府に被爆国にふさわし役割をはたさせるには、核の傘からの脱却が重要であり、「戦争する国」つくりをくい止めることが重要と発言されました。

韓国のロウソクデモについて、2代にわたる大統領を監獄に閉じ込めたと笑いを誘いながら、自発的な参加と運動で成功させたと回答しました。

パネル討論会として、初参加の54人を含め、235人が参加しました。核兵器禁止条約ができたもとでの各国運動や政府の動向などが話題になりました。

最後に、私は国際会議から参加し、会議参加者が自らの意見を積極的に述べていることに感動しました。

 

第8分科会「青年のひろば」

第8分科会「青年のひろば」には約450人の青年が参加しました。同分科会では戦後70年目の節目から、被爆体験を青年のなかで継承するとりくみを始めました。①被爆者訪問②聞き取り③追体験の三つの企画に分かれています。

企画に先立ち、日本原水協代表理事で医師の斎藤紀(おさむ)さんが被爆の実態を様々な資料に基づいて解説。続いて8才で被爆した宮城県の木村さんの被爆証言がありました。「大火傷をおった祖父にわくウジ虫をピンセットで取り除く作業の苦痛に耐えかね『早く亡くなってほしい』と考えてしまったことを一生後悔している。同じ思いを誰にもしてほしくない。核兵器はいらない」と語りました。

私は「追体験企画」に参加し、9名の班で広島中央電話局西分局跡地へ移動し、関連する被爆手記を読み合わせました。その後のグループトークでは「暑かったので始めは帰りたかったが、手記を読んだ後に目を閉じるとセミの声が体中に響いてきて、当時の様子をじっくりと考えることができた」「地元の戦跡でも追体験企画をやりたい」と感想がありました。

 

 

フォーラム「核兵器禁止・廃絶へ政府とNGOの対話」

フォーラムでは、核兵器禁止条約を主導してきた政府代表としてオーストリア軍縮軍備管理不拡散局のハイノッチ局長、アイルランド軍縮不拡散局のウォルシュ副局長を迎え、核兵器禁止条約の展望と課題について意見交換しました。

ハイノッチ局長は「核軍縮は外交官等の専管事項ではなく、市民の関わること」として、市民社会との協働により色々なことが従来の条約より早く進んでいると報告。「核軍縮の義務」が基調となってNPTは成立しており、大多数の国が核兵器はない方がよいと判断して条約が採択されたこと、条約の批准については、関連して各国の法整備が必要な側面があることも説明し、そのために少し時間はかかっているが確実に進んでいくと話しました。

ウォルシュ副局長は、核不拡散は様々に議論されてきたが、核軍縮はなかなか進まず抵抗にあってきたこと、そのもとで新アジェンダ連合ができ、NPTの枠組みの下で交渉が進んできたことを紹介し、NPT第6条(核軍縮)の骨格に肉付けし、自然に進化したのが今回の条約と説明。反対している国も条約は確実に発効すると思っており、時間の問題とした上で、「強力な義務を課しているために国内法の措置が必要で、少し時間を要しているが2020年目指して進めている」と報告しました。

日本原水協の高草木さんからは、NPT第6条を外務省は未だに「核軍備の縮小」と訳しているが、原文は「核軍備の撤廃」であることを紹介。核兵器全面禁止が世界の本流として揺ぎ無く発展していることを確信し合いました。