自衛隊の名大祭参加中止に国の圧力

「戦争準備の邪魔はさせない」のか

解説 名古屋大学で6月に行われた「名大祭」で、自衛隊ブースの出展が中止されました。これをめぐり、防衛省が遺憾の意を表明し、大学側が謝罪する騒ぎになっています。

自衛隊の出展は、東海学園大や中部大の大学祭への参加を知った実行委員会が依頼したものです。

これを知った名古屋大学職員組合がXで中止を求める声明を出しました。「自衛隊の本質が軍事組織であることを覆い隠した宣伝活動であり、大学への信頼を失うことにつながる」と指摘。「戦争を目的とする学問研究と教育には従わないと定めた『名古屋大学平和憲章』の精神を踏みにじる」としたのです。「大学は、時の権力や世俗的権威から独立した『平和の創造の場』であるべき」とも宣言しています。

実行委員会と大学は、安全管理上の懸念もあるとして中止を決めました。実際、大学には大学祭の妨害を予告するメールが届いていました。

名大の決定に対し、防衛省はXに「看過できない」と強い言葉で投稿。小泉防衛大臣も、「自衛隊による災害派遣の活動紹介すら認めない」と怒りを表しました。

しかし私たちは、自衛隊が各地で行われている防災イベントに「災害支援活動の紹介」を名目に参加し、自衛隊の宣伝や自衛官募集を行っていることを知っています。「がまごおり防災フェスタ」も、名古屋市港防災センターの「夏の防災宇宙大作戦」もそうです。自衛官が3万人不足して充足率が88%まで下がり、防衛省は焦っているのでしょう。ですが、自衛官は賭命義務を課された兵士であり、災害支援は本来の業務ではありません。それを入口にしたソフト路線で宣伝・勧誘をしてくるのは看過できません。自衛隊を身近に感じてもらい、憲法に書き込んでもらうという目的もあるのでしょう。

さらに今回は文科大臣までもが大学を批判し、大学の自治に介入する発言をしています。国は多くの大学が軍事研究に反対していることが不満であり、これは2020年の日本学術会議任命拒否事件と同様の構図です。辺野古ボート転覆事故への過剰な反応もそうですが、政府が軍備を増強して戦争準備をすすめようとするなか、平和を求める市民の声の高まりを牽制し、分断を持ち込もうとしているようです。

なお、これまでにも徳島大、山口大、横浜市大などで自衛隊の参加に反対の声が上がり、展示内容やイベントが変更されています。