朝鮮高校無償化訴訟 差別は教育を受ける権利の侵害

高校無償化制度は、すべての高校生に均等な教育の機会を保障する制度として2010年に始まった。ところが朝鮮学校に対しては、同年の延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件を理由に審査停止、その後も教育内容を問題視して「審査」を引き延ばしていた。こうした国の行為を違憲・違法として、2013年1月、大阪と愛知で提訴したのがいわゆる「朝鮮高校無償化訴訟」である。提訴後の2月には文科大臣が文科省令を改悪して不指定処分を行った。広島でも8月に100名を超える原告が提訴。東京、福岡でも提訴準備が進められている。大阪では大阪府・市による補助金打ち切りに対する裁判も行われている。

愛知の訴訟では、国による一連の朝鮮学校排除行為の、憲法14条、13条、26条、国際条約及び無償化法自体への違反を問うている。朝鮮学校の生徒であることを理由とする差別は、紛れもなく教育を受ける権利の侵害であり、「朝鮮人であること」に対する否定である。また、「日本人と違う教育内容」を問題視する発想は、戦前の植民地主義に基づく同化政策を受け継いでいる。さらに、朝鮮学校や朝鮮総連を拉致やミサイルと結びつけて危険視する「国民の理解」が、冷戦後の日本の軍拡の口実である「北朝鮮脅威論」により形成されてきたことを見過ごしてはならない。排外主義、アジアの隣国を敵視した戦争法案と、朝鮮学校差別とは無縁ではない。

「無償化訴訟」の次回期日は12月3日11時から名古屋地裁大法廷で行われる。