裁判傍聴と被爆者支援ネット総会

ノーモアヒバクシャ愛知訴訟の第13回口頭弁論が、5月8日に行われ、約70名の傍聴者が集まりました。裁判は双方の書面の交換というかたちのため、5分程度で終了しましたが、報告集会では、書面を起案した担当弁護士から報告がなされました。

報告集会 5/8 弁護士会館

報告集会 5/8 弁護士会館

原爆症の認定をめぐっては、昨年末の原爆症認定基準の改定でも認定されなかった被爆者が、大阪や熊本の裁判で原爆症と認定されました。行政判断と司法判断との乖離が厳しく問われています。

ノーモアヒバクシャ裁判の勝利で抜本的な認定基準の改定を実現したいと思いますので、ご支援をお願いします。次回裁判は、7月24日15時に予定されています。

 

あいち被爆者支援ネットは、5月10日、総会を開催しました。
総会では、長年被爆者に寄り添って活動をしてこられた精神科医の中澤正夫医師が「ヒバクシャの心の傷を追って」と題して記念講演を行いました。その概要は次のとおりです。

耐えがたい事態に遭遇した時の自己防衛・混乱から、被爆者の話には欠落や順序が違う部分があります。被爆体験を聞くときは、そのことについての配慮が必要です。また、被爆者の心の状態は、生き残ったこと、生きていることが負い目と感じ、逃げるとき、自分が見捨てざるを得なかった人への罪の意識を抱いています。普通のPTSDと違い、被爆者のそれは時を経ても変わらないか、大きくなる傾向があり、その内容が、最初は「消えた町とか死体の群れなど直後の悲惨なこと」でしたが、現在は「自分が見捨てた人など、見捨て体験」になり、重篤で振り払っても消えず、身体的不調とともに深まる傾向があります。放射線被害の影響で自分が体調を崩したり、同じ被爆者が癌になることが、記憶を呼び戻す刺激になり、新たな心的外傷を形成します。「放射能が一生追いかけてくる」わけで、終わりのない史上かつてない残酷なPTSDです。

中澤医師の話で学んだことを生かして、今後の被爆の実相を受け継ぐ活動を行っていきたいと思います。