2013年を迎えて思う5つのこと
学びを力に
年末の総選挙の結果は、憲法を守り活かす、安保条約廃棄・米軍基地撤去、核兵器廃絶、原発ゼロ等、平和委員会が掲げる要求実現の観点から見れば、「無残」な結果でした。民意を反映しない小選挙区制であろうと、私たちは、勝たなければなりませんでした。被爆者、強制連行・戦争被害者は高齢です。被害者への補償は、一刻を争う喫緊の課題です。今度の選挙で私たちは、国防軍保持・集団的自衛権の行使、憲法第96条の「改正」による改憲の発議要件の緩和等の政策を掲げる安倍自民党と核兵器保有論等を声高に主張する石原慎太郎氏率いる維新の会の「躍進」を許してしまいました。
結果は取り返しがつきません。いま、大事なことは負け惜しみ的総括をすることでも、敗北主義的落胆にふけることでもありません。一息深呼吸して、速やかに総括し、課題を明らかにすることです。
さて、課題はと言えば、ハッキリしています。元気を出すことです。元気の源は、真実を知ることにより湧き出る、怒り、悲しみ、驚き、喜びです。独習とネットワーク(聞き取り、対話、体験、学習会等)により、容易に真実に近づくことができます。民主会館を学びの息吹・芽吹きの発信源としましょう。
若者が「輝く」平和委員会を
学びの主役は若者です。幸い、民主会館4階には、高校生平和ゼミナール、平和委員会青年・学生部、原水協に若者が集います。毎年5月3日、青年・学生部が、名駅前ななちゃん人形付近で行う“若者100人に聞きました憲法アンケート”、10月に開催した“うずらえっぐ”(43名参加)、あいち九条の会が主催した“東海4県交流会”(9月16日)青年分科会と“憲法九条を守ろう愛知県民の集い”(11月3日)第2部:対話「大江健三郎さんと若者」への参加と下支え、栄や大須で行う宣伝行動・シール投票の企画など若者の活動が光っています。学びを力に、運動をさらに拡げ、若者が「輝く」平和委員会を築こうではありませんか。
「主権者を育てる教育改革を」の声を大に
私が今度の選挙戦を通じて改めて痛感したことは、次代を担う子どもたちへの教育です。安倍自民党は、2006年強行した教育基本法改悪に引き続き、教科書検定基準の改定による「自虐史観」の克服、「日本人らしいアイデンティティーを徹底的に教える」など愛国心の注入を再び露骨に表明しています。
いま学校は、超過度・過密な競争教育の場と化しています。大学生もまた、厳しい就職競争に「打ち勝つ」就活への没頭を余儀なくされ、自治会活動、サークル活動は言うまでもなく、講義への出席もままならぬ学生生活の毎日です。雇用問題とともに、この深刻な若者をめぐる教育状況にメスを入れ、教育を国民の手に取り戻す運動は、平和運動の担い手を育てる観点からも極めて重要です。
憲法「改正」阻止、小選挙区制廃止の統一戦線の構築を
安倍自民党は、憲法第96条の改正条項を「改正」し、第9条「改正」への地ならしを目論んでいます。また、今回の小選挙区選挙の結果は、43%の得票で79%の議席を確保できるという選挙制度の欠陥を重ねて浮き彫りにしました。死票率は自民党が12%、日本共産党は100%、全体でも54%です。自民党筋からも中選挙区制の復活の声が出ています。憲法第96条「改正」阻止と小選挙区制廃止にむけた一点共闘構築の重要性が、改めて明らかになったと思います。
会員・読者の輪を拡げ、地域に平和委員会を網の目のようにつくろう
選挙結果から憲法擁護、安保条約廃棄・米軍基地撤去、原発ゼロなどをめざす運動に対して、明らかに逆流が強まっています。いまこそ、会員・読者の輪を拡げ、地域平和委員会を網の目のようにつくり、地域から逆流に抗する運動を積み上げていくことが重要です。これまで日常的・多面的な活動をすすめてきている春日井、小牧、犬山、名古屋北、守山などにつづき、この1~2年の間に、天白、中村、あま東部地域に結成された平和委員会の新鮮で地道な活動をみれば、その意義は明らかです。会員のみなさん、私たちの要求実現の重要な政治決戦である参議院選挙も間近に迫ってきました。決意を新たに元気に新年のスタートをきりましょう。
愛知県平和委員会 理事長 高橋 信