アジア太平洋戦争開戦72年 2013 12・8不戦のつどい 安倍内閣の改憲の狙いと構図を読み解く

12月8日(日)、「12・8不戦のつどい」が民主会館で開かれ、中谷雄二弁護士が講演しました。会場は130名の参加者で埋め尽くされました。10月から準備されていたこの集会の表題は、見出しのとおりでしたが、やはりお話の中心は、12月6日に成立したばかりの特定秘密保護法でした。

実質改憲の進行状況

知る権利どころか、あらゆる人権がないがしろにされるのが戦争であり、多くの国の憲法の人権規定は「戦争を除く」ものとなっています。しかし、日本は戦争を放棄しているのですから、そのような例外規定はありません。ところが、2012年4月に公表された「自民党憲法草案」には、国防軍を保持する、国防軍に審判所を置く、など、とにかく戦争をする国にしたい、という自民党の意図が明示されています。しかし、国民投票で過半数を取れる自信がなくなった自民党は、実質改憲の道を歩もうとしています。自民党は集団的自衛権は自然権である、と言っていますが、第二次世界大戦後、米ソの意向によって国連憲章に挙げられたもので、自然権とはとても言えません。やりたいことがあれば平気で嘘をつくのが政府であり、御用学者です。そして、戦争をするためには情報の秘匿が重要になってきます。そこで秘密保護法が必要となるのです。

単なる法律としてもひどい出来の秘密保護法 

特定秘密保護法は、初めに定義をきちんと述べる、という一般的な法律の体裁を成していません。批判を浴びないように手直しした跡が残っています。秘密を取得しようとしたり、そのためにそそのかしたりした「言葉」が処罰の対象となり、言論の弾圧につながります。市民運動は言論が前提であり、自主規制を招きかねません。このような悪法に対して野党やマスコミは反対攻勢を強め、市民運動も安保闘争以来の高まりを見せましたが、遅すぎました。2012年3月にこの法律案が作成され、「秘密保全法に反対する愛知の会」が立ち上がり、訴えてはきていましたが、残念ながら、危機感が広がらなかったと言えます。最悪の危険を予測して運動すべきであったのに、それができませんでした。

成立は終わりではなく、新たな運動の始まり

しかし、あきらめてはいけません。1年以内の施行が決まっていますが、施行させないとりくみが必要です。新聞記者たちもこの問題を書き続けると言っています。現在の政権には弱点があります。自民党が圧倒的多数を占めている、と言っても小選挙区制による結果であって、民意を忠実に反映しているとは言えません。また、「1票の格差問題」を取り上げた訴訟において、衆参両院とも「違憲無効」や「違憲状態」などの判決が次々に出されています。その上、3・11以降、政府はいざとなったら国民を見放すという恐怖が、国民に植え付けられました。

国家に権利保護を求めるより、主権者として自覚し、具体的な政策実現のための運動をしていきましょう。また、弾圧を跳ね返す体制の構築――例えば違憲訴訟につなげるなど――に向けて私たちも動き出しています。大切なのはあきらめないことです。そこから展望が開けます。