侵略戦争を肯定する育鵬社・自由社の教科書採択の危機 展示会は7月5日まで
いよいよ来年から4年間使用する中学校教科書の採択時期となりました。国会で「戦争立法」の違憲問題が注目されていますが、育鵬社の公民教科書では、堂々と憲法前文の後段を引用して、あたかも集団的自衛権が合憲であるかのような記述をしています。このように、まったく政府広報誌のような教科書(安倍首相の写真がいっぱい)が、マスコミの報道もほとんどない中、全国各地で採択されようとしています。
特に危ないのが名古屋市です。南京事件否定発言を撤回しない河村市長は、4年前の教科書採択において、育鵬社の教科書に対して「このような素晴らしい教科書が採択されないのはおかしい」と教育委員会に圧力をかけました。今回は、4月に教育委員会制度が改悪され、市長が名古屋市の教育行政の最高責任者となりました。その市長が、6月7日に開催された教科書採択に向けた意見聴取会で、会場の最前列に座っている教育委員に対し、「よく聞いて選んでちょうよ」と名古屋弁であいさつしました。
意見聴取会に出席した有識者とは、育鵬社・自由社と中学校社会科教科書として現在名古屋市が使用している東京書籍と教育出版の出版会社の執筆者でした。自由社の藤岡氏は、「侵略戦争などなかった」と皇国史観ともいえる持論を展開し、歴史学習を通じて愛国心教育をしなくてはならないと強調しました。育鵬社の石井氏は、近現代史にはほとんど触れず、日本にも古代から縄文文化のような素晴らしい文化が存在していることを主張しました。
私たち「戦争を肯定する教科書の採択を許さない愛知県実行委員会」が開催した6月13日の集会には、約100人の市民が集まりました。そこでは、不採択に向けて、教育委員会への要請行動や教科書展示会で意見・感想を集中して行く意思統一をしました。何としても、名古屋市をはじめ愛知県内での育鵬社・自由社教科書の採択を阻止しましょう。