愛知朝鮮高校「無償化」訴訟名古屋地裁判決

請求棄却の不当判決、引き続きご支援を!

4/27 名古屋地裁

4月27日、名古屋地裁は、就学支援金制度からの除外は違憲・違法であるとして、愛知朝鮮高校の生徒・卒業生らが提起した国賠訴訟について、請求棄却の不当判決を下しました。

原告らは本訴訟において、拉致問題等の政治的理由でなされた朝鮮高校生を受給者とするための省令の削除は、高校生個人への就学支援を目的とする「無償化」法違反であり、憲法(平等権、人格権、学習権)及び国際人権条約への違反であると主張してきました。

これに対して、被告は、「無償化」除外の理由は、拉致問題等ではなく、「北朝鮮」と朝鮮総聯が朝鮮学校に対し、教育基本法が禁止する「不当な支配」をしている疑いがあり、就学支援金を流用するおそれがあるためであるとの、後付けの理由に基づく反論をしていました。

この点、本判決は、下村文科大臣(当時)には「朝鮮高校を支給対象校とすることが拉致問題との関係で相当ではないという考えもあった」として、先行した敗訴判決が認めなかった政治的考慮の事実を認めました。しかし、結論としては、朝鮮学校の教育内容は、教科書のごく一部の記述などから「北朝鮮」の指導者を個人崇拝し、絶対視するような偏った内容のものになっていると疑われるなどとして、被告の「不当な支配」論を肯定し、拉致問題の影響がなくとも結局除外されていたとして、国の差別を容認しました。

本判決は、文科省自身によって外国人学校の教育内容は審査の対象でないとされてきたにもかかわらず、独自の民族教育を行う外国人学校に対し、教育内容への行政介入を認めており、教育現場の自主性を保護する学校教育法制自体を揺るがしかねないものです。国が率先して差別したことによって、自治体補助金の切り崩しや社会の偏見にさらされた原告の苦しみを、たかが11万8000円をもらえないだけのこと、と矮小化した点も非常に問題です。

原告らは、5月8日に控訴し、闘いの舞台は名古屋高裁に移ります。引き続きご支援を賜りますようにお願いいたします。