日本はなぜ戦争責任問題を解決できないのか
高橋理事長や澤田原水協理事長が関わる、「米国の原爆投下責任を問う会」が学習会を行い約50人が民主会館に集いました。学習会は第10回目となりますが、今回「日本はなぜ戦争責任問題を解決できないのか」を演題に元広島平和研究所教授の田中利幸さんが講演しました。
田中さんの講演では、以下のことが強調されました①日米軍事同盟の原点としての「原爆正当化」と天皇免罪・免責の共同諜議②天皇裕仁の免罪・免責を目的とした憲法第1章と2章9条の設定③憲法前文、9条と第1章の根本的矛盾④昭仁宛公開書簡の目的―天皇「人間化」の試み等です。
①では、米国はアジア太平洋戦争を終わらせるためには戦略的には全く必要でなかった原爆を、ソ連の対日戦争開始を避けるためという政治的目的の理由から日本に対して使うことを計画。米国は、原爆使用を可能にするため日本が降伏しないように画策し、日本は「国体護持」にこだわり降伏を先延ばしした。②では、米国マッカーサーは、日本占領政策を円滑にすすめるため、また共産主義の浸透を抑え込んでいくために「天皇」を維持・温存していくことが必要との認識。
しかし、日本の戦争責任を追及する国際世論に対し納得を得るため、「天皇裕仁が本来は平和主義者であることを表明すること」「戦争放棄条項を新憲法に盛り込むこと」を重視した。
③では、憲法9条と憲法前文には密接な関係性があり「あらゆる戦争の非合法化」に向けての展望を前文は示している。一方で、一章では天皇の地位が、国民主権主義、平和主義の観点からみてどのように変革されたのか?あるいは、象徴天皇は前文の国民主権主義、平和主義の普遍原理とどのように関連されているかは説明がない。「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることの無いように」主張したが、戦争最高責任者の天皇の責任をうやむやにしたままであるなどでした。その後、国民主権をつらぬくため、天皇「人間化」の試みへの問題を強調しました。
あらためて、米国の戦争責任、原爆投下の責任、または象徴天皇により、天皇への戦争責任があいまいになっている日本社会の問題点を考える機会となりました。