「国体は菊から星条旗へ」根底に流れる権力の無責任体制
平和委員会は15日、大嘗祭の夜に天皇制を考える講演会を開催し、短期間にもかかわらず120名の参加がありました。講師の白井聡先生(京都精華大学)のお話を報告します。
不祥事続きにもかかわらず安倍首相は辞めないし、国民もまたかとスルーしている。この無責任さは、どこからくるのであろうか。最近、福島での原発事故の裁判でも、東電幹部は誰も責任を認めなかった。この光景は、東京裁判で被告が本当は戦争を回避したかったと弁明する場面と似ている。かつての戦争は、国体である天皇が維持できたことから、敗戦の責任は曖昧となり、終戦と置き換えられ、ついには戦争はなかったことのように戦後の権力者は振舞っている。私たちからすれば、対米従属と思われることでも、安倍首相にとって米国は戦勝国ではなく、従属する関係ではないのである。
では、どのような関係であろうか。それは、米国は天皇にかわる国体なのである。戦前の天皇であれば絶対的な権限を持っていたので、その名のもとに政治をすれば何でも国民を黙らせれたが、今の天皇は象徴でしかない。その点、米国は世界一の大国であり、その友好関係を守るためと言えば、少々反発があっても押し通すことができると考えている。
しかし、国体を米国に置き換えたことには無理がある。米国は、戦前の天皇のように日本の政治家の言うことを黙ってうなづいて聞いてはいない。むしろ、トランプ大統領は自国第一主義で日本に無理な要求をしてきている。米国にもかつてのような余裕はないのである。よって、米国をバックにしてごり押しをして、国民生活に悪影響が出たとしても、これまでのように知らない顔をするには限界に来ている。
私は講演を聞き、辺野古の新基地建設を思い浮かべました。沖縄県民の声を平気で無視する安倍首相の姿勢は、まさにこの新国体を利用してのことで、これに負けてはなりません。