自衛隊だからこそ避けられない「三密」 生活環境の改善、訓練中止を求め申し入れ

1/27 陸上自衛隊第10師団指令部前

愛知県平和委員会は、陸上自衛隊守山駐屯地内でのコロナ感染症のクラスター発生に関わり、情報公開や対策の実施を求めて、防衛大臣、陸自第10師団長に対して申し入れを行いました。日本共産党本村衆議院議員を通じて防衛省に問い合わせたところ、全国の(陸海空自衛隊・防衛省)で786人、愛知県の陸上自衛隊守山駐屯地では41人(年末年始の27人のクラスターを含む)の感染者が明らか(2020年3月より2021年1月19日時点)となりました。

2020年5月に示された防衛省による感染防止マニュアルでは、「マスクの着用、三密の回避」などが求められています。しかし自衛隊内では、基地内で寝食を共にする共同生活、密集した軍事訓練など、感染が拡大する条件があります。

さらには米軍と自衛隊が一体となった演習が、日本国内はもちろん米国内や南シナ海、太平洋などで行われており、共同相手の米軍兵士からの感染も懸念されるところです。実際上はマニュアル通りの実施がされておらず、三密を避けるのなら、訓練は中止に追い込まれるという根本矛盾に陥っているという状況ではないかと思います。

実際、名古屋市感染対策室の話によれば、守山駐屯地内での最初のクラスターが発生する直前に大規模な訓練が実施(12月22日、23日)されており、保健所指導のもと濃厚接触者の確定とPCR検査実施の時点で、すでに感染が広がりクラスターとなったとのことです。訓練が、感染拡大の要因だったのではないかという見方です。全国的にも、北海道、函館駐屯地は12人の感染(1月26日)が確認されましたが、性別、年代、隊員の階級など具体的な状況をいっさい明らかにしていません。広島県海田市駐屯地は18人の感染が確認(1月28日)、訓練によってはマスクをしていなかったとのことです。静岡県板妻駐屯地は12人が感染(1月27日)したが訓練は継続、「訓練しないと能力が落ちるので中止にはできない」(陸上幕僚監部)と答えています。鹿児島県霧島演習場での訓練で、10人の感染が感判明(1月28日)したが訓練は続行。

今回の感染に関わりませんが、私たち平和委員会の調査を通じて、第10師団の11月に行われた訓練(岐阜県白川町から守山駐屯地まで行軍)で、隊員がマスクを着用しないで訓練を行っているところが確認されています。訓練到着時には歓迎式が行われましたが、訓練を行った隊員のみですがマスクをしないまま、胴上げされるなど密接、密集状態にありましいた。

申し入れでは、感染症の対策を講じるよう強く求めました。それは、隊員の命と暮らしを守ることはもとより、その家族や地域コミュニティを守り、そして医療崩壊を防止する点でも喫緊の課題となります。今回のクラスターについて近隣住民からも不安の声が上がっています。以下の要請をしました。

・感染者が発生した場合、速やかに自治体に連絡・公表すること
・発生の原因、濃厚接触者の数、検査数、その結果を明らかにすること
・保健所の指導の下に立てた再発防止策を明らかにすること
・感染を広げる恐れの強い生活環境を改善すること。県をまたぐ訓練はもとより、5人以上の集団行動となる訓練は中止すること。米軍との共同訓練を中止すること。

今回の自衛隊内の感染拡大の問題は、自衛隊の日常活動そのものが、密接、密集、密閉という三密が避けられないという実態をさらけ出したとともに、感染拡大を回避するために大きな世論を広げていくことが求められています。