県弁護士会「連続憲法講座」事故・犯罪、核疑惑も覆い隠して地位協定

愛知県弁護士会による「連続憲法講座」が、10月2日、弁護士会館を主会場にオンラインで行われました。3回目となるこの日には、会場に40人、オンラインで50人余が参加しています。

「有事になれば、沖縄の米軍基地は攻撃対象」―「日米地位協定を日本国憲法から検証する」と題して講演を行った前泊博盛沖縄国際大学大学院教授は、沖縄が置かれている危険な状況から論じます。「攻撃されるのは基地だけではない」と。

続いて前泊氏は、日米地位協定の屈辱的な実態を告発するのです。①米兵の出入国の自由。コロナの検査もスルー、②低空飛行の自由、③米兵犯罪の治外法権等々、数え上げるとキリがありません。米軍機が事故を起こした場合、米軍は日本側の事故処理も調査も拒否しています。このことについて前泊氏は、「全ての戦闘機からストロンチウムが検出される」として劣化ウラン弾搭載の可能性を示唆しました。米軍機の事故で日本側が手出しできないことに、「犯罪捜査を容疑者にさせるのか」と外国から笑われているといいます。こうした状況を前泊氏は、「法治国家ならぬ放置国家だ」と指弾するのです。

前泊氏は「地位協定改定を拒む壁」として、無関心、無知、無能や秘密主義など8つの要因をあげました。中でも自衛隊が派遣されたクェート、イラク、ジブチで当該国と結ばれた地位協定が日米地位協定と変わらない不平等な内容というのに驚きます。前泊氏は、「地位協定問題は、主権国家のあり方、国民主権の実態、法治国家としての矜持など、戦後日本の政治の『質』を問う重要な試金石であり、国民が無知と無関心であってはならない」と訴えるのです。

最後に、「枝葉末節の変化ぐらいでは解決にならない」と述べて、「軍事依存の体質を変える必要」を強調しました。そして、「EUのように同じ経済圏を作れば戦争の必要がなくなる」と提案します。

途中に特別発言で参加したのは小林武沖縄大学客員教授。「建白書」に基づいて県内に新基地を作らせない、沖縄の不条理を県外に持っていってはいけないと述べて、「憲法と相入れないもの」として日米安保条約終了を視野に入れた運動の必要性を強調した発言は、聞く者の胸に響きました。