あいち総がかり行動 講師養成講座 第1回「中国脅威論にどう対抗するか?」 共同代表中谷雄二弁護士

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1月27日、憲法をくらしと政治にいかす 改憲NO!あいち総がかり行動は、改憲策動に対抗する運動を作るための、講師養成講座をイーブルなごやで開催し、リアル参加者29名、オンライン視聴39箇所でした。当日の内容を同会のニュースから転載します。

1 昨年12月、麻生副総理や安倍元首相が、台湾有事の際には、安保法制(戦争法)で認められた「存立危機事態」あるいは「重要危機事態」となり、中国の武力侵攻に対抗して武力行使する米軍と一体となって武力行使したり、米軍の後方支援を行う可能性があると講演やマスコミで発言した。その後、台湾危機という名で、マスコミが大騒ぎをし、中国による台湾への武力侵攻によって、米中戦争がすぐにでも始まるような報道をした。国民もそれを信じ、台湾危機を理由として南西諸島へのミサイル配備等が進められている。しかし、NHKの台湾危機という特集では、元外務省高官や元自衛隊幹部らが行った中国の軍事侵攻に対するシミュレーションを行ったが、中国の軍事侵攻という事態になったら誰も勝者のいない相互破滅に至ると参加者が感想を語っていた。

2 マスコミは、中国軍機の台湾防空識別圏への侵入を大きく取り上げるが、防空識別圏は、各国が自由に引くもので台湾の防空識別圏は、朝鮮戦争時に中国本土までも含めて米軍が引いたものである。侵入といっても防空識別圏の端を往復しているにすぎない。中国の行動は、台湾海峡を米艦隊や米艦隊と一緒に英仏豪印艦隊が通過したことなどへの抗議行動であり、その活動は、米国の情報局長が上院で「受動的」だと発言している性格のものである。中国研究者の岡田充氏は、中国が武力統一を行わない3つの理由として①米中の総合的な軍事力には未だ格差があること、②台湾住民3%しか中国との統一を望んでいないこと、その下で武力統一すれば、混乱要因を抱え、国際世論の強い反発を買うこと、③中国が強くなった経済力を国民を豊かにするために進めている筈の一帯一路などの構想も進まなくなり、中国の目的達成の阻害要因になることを上げている。中国脅威論は日米軍事同盟の強化が招いたものである。

3 中国が台湾を核心的利益というのは、歴史的背景がある。サンフランシスコ平和条約第2条bでは、「日本国は、台湾及び澎湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。」と日本が放棄することは明記されているが、誰に帰属するかが曖昧になっている。しかし、朝鮮戦争勃発前はアメリカも含め、国連加盟国のほとんどが中国本土を領有している中華人民共和国に帰属することに異論がなかった。朝鮮戦争によりそれが曖昧化された。日中平和友好条約と一緒に出された日中共同声明では、台湾は中国に帰属することを認め、互いに武力攻撃をしない、武力による威嚇もしないと約束している。仮に中国の台湾への軍事衝突を理由に米軍と一緒に自衛隊が中国と交戦することになれば、日中平和友好条約違反となる。

4 中国脅威論は、かつての日本バッシングと同様、世界資本主義の中核国家である米国の地位を中国が脅かすことに対する中国バッシングである。日本は軍事的政治的に米国に従属しているから米国に屈服したが、中国は屈服しない。中国共産党100周年の周近平演説でも台湾独立に対して武力行使を否定してないが、原則として平和統一を進めることを明言している。