12・8不戦のつどい 演劇「撫順化石山/戦後…」 人間の心の葛藤に心が揺さぶられる

「アジア・太平洋戦争を忘れない「つどい」実行委員会(仮)」が今年2月ごろから始めた「平和を語る八月名古屋集会」(8・15集会)の準備会議で、「12・8不戦のつどい」には労働者劇団つぶれそう一座の演劇「撫順化石山/戦後…」をとりくむことを決めました。この演劇は、後述する「加藤さんの感想」にある内容で、戦争か平和かが問われる今の時期にあった企画です。また青年が中心に演じていることに好感がもてました。
200人規模の会場探しは、各種の施設を当たり、かろうじて名古屋港ポートビル講堂に決まり、「8・15集会」にチラシを折り込みました。12月8日は土曜日であり、2回公演にしました。
会場の取り決めで当日、金銭が受け取れませんので、9月になり、宣伝チラシと公演協力券(入場整理券)を発行し、実行委員会団体と劇団とで普及することになりました。当初は、実行委員会団体の普及が遅れていました。実行委員会で普及強化を決め、改めて演劇と劇団の内容を学び、集約回数増やし、最後の1週間には連日集約を確認しました。
公演は2回とも満席で、あわせて266人が観劇しました。アンケートにはよかったとの感想が多く寄せられました。(「アジア・太平洋戦争を忘れない「つどい」実行委員会(仮)」共同代表 三浦米吉)

【加藤さんの感想】
一人の元日本兵が戦時に中国での住民殺傷に加わり、戦後撫順の戦犯管理所に収容された。仲間とともに死刑をも覚悟していたが「暴に報いるに暴を以ってせず」という中国政府の方針で寛大な処遇を受け帰国した(撫順の奇跡ともいわれる)。故郷の岐阜県に帰った彼は、近くの化石山で戦時に多くの中国人捕虜たちが強制労働の末に死亡したことを知り日中友好の慰霊碑建立に力を尽くす―劇はこの実話に基づく物語である。

「撫順の奇跡」はものの本で知ってはいたが、中国側の寛大な措置の裏で管理所の中国人職員や看護師の女性たちが「身内を殺した憎い日本兵を何故こんなに大切に扱わなければならないのか」と悩み、中には職場を去っていく人までいたこと、旧日本兵たちも当初は「命令に従ったことが何故悪いのか」と反抗、犯した罪の自覚までに長期間を要したことなど、人間としての心の葛藤までは分からなかった。今回の劇はそれを見事な演技で伝えてくれた。心が揺さぶられた。つぶれそう一座の好演に拍手を送りたい。

フィナーレのあと主催者を代表して愛知県平和委員会の高橋理事長が挨拶し、「日中友好の懸け橋となる劇ではないか。この話を全国にそしてアジアに拡散して行こう」と呼びかけた。
(同実行委員会共同代表 加藤剛(JCJ東海))