安保法制違憲訴訟 戦争の加害者にも被害者にもなりたくない

4月19日、「安保法制法違憲国家賠償請求訴訟」の第3回口頭弁論が名古屋地裁大法廷で開かれ、原告・サポーターら90人が傍聴しました。

今回の弁論では原告側弁護団が、「『平和』の概念そのものが抽象的かつ不明確」として「平和的生存権の具体的権利性」を否定する国側への反論、9条解釈の変遷と安保法制制定過程の違法性、その施行下での違憲行為について述べ、安保法制の違憲性を明らかにしています。「平和的生存権」を認めようともしない国側に対して行った反論では、「平和的生存権は、憲法上の法的な権利として認められる」とした2008年の自衛隊イラク派遣差止等請求事件の名古屋高裁判決をあげて「平和的生存権に具体的権利性はある」と示しました。2008年の名古屋高裁判決が、今もなお輝きを失っていないことに感動を覚えます。

「戦争の加害者にも被害者にもなりたくない」と原告陳述に臨んだ相馬伸郎牧師は、戦前のキリスト教会が戦争政策に協力した反省に立って、「教会は炭鉱のカナリアのように、今こそ泣かなければなりません」と語りました。相馬氏は報告集会でも、「キリスト教会の責任として立ちはだからなければならない」と発言しています。もう1人の原告藤井克彦氏は、「私の生き方からすると、自衛隊の海外での武力行使により、他国の人々や自衛隊員が殺傷されることは、私自身が加害者側に立つことであり、とても苦痛です」と陳述しました。今回の法廷では、陳述の拍手に対する制止はありませんでした。

報告集会では、事実認否をしない国に対して、事実を積み上げていくことの大切さ、理性と知性で裁判官の人間性に訴えていく方向が強調されました。次回は、6月12日(水)の予定です。