沖縄高江への愛知県機動隊派遣違法訴訟 国と県警の不当性を明らかに
沖縄高江への愛知県機動隊派遣違法訴訟もいよいよヤマ場の承認尋問が、7月17日18日に行われました。17日は高江を調査する生物(鱗翅類)研究者の宮城秋乃さん、高江「ヘリパットいらない」住民の会の伊佐育子さん、安次嶺現達さんで、証人採用の要請はがき運動が裁判長の心を動かし実現しました。
最初に宮城さんが高江の森の自然度の高さやそれを無残に壊すヘリパット建設工事、米軍により廃棄されたゴミなどの動画と共に証言しました。
豊かな自然の中で子どもを育てたいと願い建設に反対している、という伊佐さんに、県側は嫌がらせのような尋問がありました。ヘリパットから400mのところに住んでいた安次嶺さんは、オスプレイは来ないという説明だったが、同機の騒音で家がゆれ吐き気がする。朝から晩まで同機が飛び体調を崩し、子どもを守るために引っ越したことなどを証言しました。
5時から行われた報告集会で宮城さんが「ヘリパット建設に賛成の人がいるというのは人間の都合。世界の中でここにしかいない貴重な生き物がいる限り森を壊してはいけない」との発言が印象的でした。抗議行動についての県側のねちねちした尋問については、反対運動の違法性が争われているが、大声・罵声・しがみつくは非暴力の闘い。県側は踏み込み不足、との説明が弁護団からありました。
最後に大脇弁護士から、「普通の暮らしを守るためにこれだけの闘いがいる。本土で沖縄の現実を引き寄せる裁判」との指摘に、本気の取り組みが求められていると思いました。
住民敵視の警察の本質、尋問で明らかに
18日の午前は、県警機動隊の高江派遣に関わった愛知県警警備課長補佐が登場。沖縄県公安委員会の要請により愛知県公安委員会が決定して派遣したとの証言が尋問ですすむにつれて警察庁主導で愛知県警本部長の専決で実行されたことが明らかになります。
課長補佐は、「抗議活動に名を借りた違法行為」と住民の抗議行動を敵視、治安警備活動を強調しました。挙句に警備内容を「反対派への右派乱入に備えるため」と言い出す始末です。「政治的対立を伴う案件」との指摘には、「意味が分からない」と答えています。課長補佐は時には横柄に、しかし、しきりに被告代理人席に目をやっていました。
原告側からの申し出で、愛知県議会で「機動隊派遣問題」を追求している高木浩司県議が証人として招請されました。県警機動隊の沖縄派遣は15回に上り、その内8回が高江であることが明らかにされます。高木氏は、後日社会的議論が予想されるものとして、「異例または重要と判断した」と述べました。被告代理人は、これら高木氏の発言を、派遣費用を含む決算は「県議会で是認された」と一蹴しています。
その後、機動隊の不当・違法行為を撮り続けた映像作家の古賀加奈子さんの証人尋問も行われましたが、2日間にわたる証人尋問で明らかになったのは、政府や米軍の無法に反対し抵抗する人々を敵視する警察の体質です。しかし、証人尋問の必要を否定する被告側に対し、裁判所自身が証拠の必要を認めしきりに証人に質問をするなど、裁判の行方がおもしろくなってきました。