2020年NPTに向けて核兵器廃絶の世論を 原水爆禁止世界大会長崎大会開催される

8/9 長崎

被爆74年の今年、原水爆禁止世界大会。ヒロシマデー集会(6日)に約1300人、ナガサキデー集会(9日)に約5000人がつどい、「被爆75年を来年にひかえ、『生きているうちに核兵器廃絶を』との被爆者の願いにこたえるため、わたしたちは全力をあげて歴史的な行動に立ち上がる」(長崎からのよびかけ) との決意を固め合いました。

今年の大会は、2017年7月7日に核兵器禁止条約が採択されて3回目の大会。大会直前の7月31日にセントビンセント・グレナディーンが、大会中の8月6日にボリビアが批准し、批准国が発効に必要な50カ国の半数に達しました。オーストリアの代表は、国際条約の批准としては早い方だと語ります。来年のNPT再検討会議にあたっては、原水爆禁止世界大会㏌NYをはじめとする国際共同行動が呼びかけられます。

8/7 長崎市・愛知県代表団会議

国内的には、市民連合の代表があいさつをし、立憲民主党の副代表から連帯メッセージが寄せられるなど、核兵器禁止条約の批准を市民と野党の共通政策とする機運も盛り上がってきています。
これらをすすめる力はヒバクシャ国際署名。毎月の69行動をはじめ、草の根の運動をいっそう広げていきましょう。

核兵器廃絶フォーラム

今年のフォーラムは、来年のNPT再検討会議に合わせて準備されている原水爆禁止世界大会㏌NYの成功に向けた運動がキーワードでした。提唱者の国際平和ビューローのライナーブラウンさんは、気候変動などあらゆる社会運動と連帯して参加を組織していくこと、また、ヨーロッパをはじめ世界では、さまざまな環境運動に多くの若者が参加し始めており、そうした若者たちに運動に参加してもらうことを強調しました。

日韓関係が緊張する中で参加した韓国の代表は、被爆者の声を世界に広げることを強調し、その中で韓国の被爆者が果たす役割も紹介しました。

また、核兵器禁止条約を実効させるためには、各国で批准するよう国内で働きかけることも呼びかけられました。唯一の戦争被爆国であるにもかかわらず政府が批准に背をむけている日本代表は「参議院選挙では、憲法改正をねらう勢力が議席の3分の2を占めることができなかった。これは、日本の市民運動と野党が生み出した結果であり、安倍政権はかならず、市民と野党の共闘で追い込めることを示した。この力に依拠して、核兵器禁止条約を批准させていきたい」と語りました。

分科会1 草の根の運動

分科会1では、草の根の運動を中心に、各地域の代表と海外代表が交流しました。被爆体験、屋久島の初めての平和行進、神奈川の平和行進の3本が特別報告として行われました。屋久島では、「シュプレヒコールは怖い」との声を反映したという報告がありました。神奈川の平和行進ではやさしいアピールの仕方を工夫する中で、ママさんがベビーカーで多数参加するなど広範な人の共感を呼んでいます。優しい言葉で主張を先頭に掲げ、ピースコールや歌がメインのアピールにした報告が相次ぎました。海外代表も問題意識についての交流で旺盛に討論に参加しました。

第一回の世界大会と平和行進から参加している90歳の被爆者の方からは、「今年は付き添いに来てもらって参加することが出来た。来年は参加できるかどうか…」と話されましたが、会場から「100歳を超える方が平和行進を歩かれた。まだ大丈夫ですので頑張って下さい。」と声が掛かり、お互いを励ますことになりました。

第一分科会は、「平和行進について集中して討論」「草の根運動は、創造的で工夫、工夫の連続」「2020年を大きな転換点にするための活動が始まっている」「諦めないということが学べる」分科会でした。

非核・平和の東北アジアと運動の役割

参加者は152人であり、米国「平和・軍縮・共通安全保障キャンペーン」のジョゼフ・ガーソン議長、韓国「社会進歩連帯」のキム・ジンヨン政策・教育局長、日本原水協の川田忠明全国担当常任理事からの提言を受け、討論・交流しました

最初に分科会運営責任者から、国際会議宣言の東北アジア情勢にふれた部分を念頭にこの分科会を進めたいとの提案がありました。国際会議宣言から「米朝関係正常化というシンガポール共同声明(2018年)を誠実に実行すべきである。すべての関係国に、武力による威嚇や挑発を厳に慎み、平和解決への努力をさらに強めることを求める」「深刻化する日韓関係の改善のためには、政経分離の原則にもとづき、侵略と植民地支配の歴史の直視と反省に立った理性的な対応が求められる」などを述べて提案されました。

川田忠明さんの問題提起は、日本政府の外交政策が破綻していると指摘し、北朝鮮に対して軍事ではなく、憲法9条を生かした外交が必要だと指摘。「日朝平壌宣言に基づいて話し合うことが大事だ。被爆国として核兵器禁止条約に参加すれば、大きな役割を果たすことができる」との提起でした。

討論の中で、韓国での日本製品不買運動に対する韓国内の意見対立を反映した意見が交わされる場面もありました。そこで感じたのは、自分の意見を述べる重要性とともに、日本国内で反核平和問題での活発な討論を起こさねばと思いました。