安保法制違憲訴訟 裁判所は勇気ある憲法判断を
新型コロナの影響で延期されていた「安保法制違憲訴訟」第8回口頭弁論が、7月10日、名古屋地裁で行われました。コロナ感染防止のため、大法廷に原告らを含め50人足らずでの開廷です。裁判官交代による更新弁論で、中谷雄二弁護士が「平和的生存権の国の主張に対する反論」を、青山邦夫弁護士が「違憲立法審査権」について行い、高橋信県平和委員会理事長が原告として意見陳述を行いました。
中谷弁護士は、「平和的生存権を認めた判例はイラク訴訟名古屋高裁判決のみ」であるかのように主張する国側に対し、棄却されたとはいえ各地の裁判所で行われた違憲訴訟での「平和についての理念は傾聴すべき」(仙台判決)など良心的な判決文を引用して反論します。青山弁護士は、「裁判所が有する違憲立法の審査権限は、単に裁判所の裁量的なものではなく、義務的であるというべき」とした上で、「平和的生存権はすべての基本権の基礎にあって、その享有を可能ならしめる基底的権利」と強調しました。
高橋理事長は意見陳述で、自らの戦争体験とその後の高校教師としての経験から平和の大切さを語ります。「この目、この耳で事実を確認することの重要性」「侵略戦争と植民地支配という加害行為がなければ被害はなかったという視点」の言葉は、傍聴者ばかりか裁判官の心にも響いたのではないでしょうか。最後に先ごろ亡くなった森英樹さんの「安保法制は違憲の最たるもの」との言葉とともに、裁判所の「勇気ある憲法判断」を求めました。次回は9月18日に行われます。