子どもたちを戦場に送るな! 自衛官募集に情報提供するな!

自衛官募集に関わって、防衛省・自衛隊からの要請に応じて、住民基本台帳の個人情報を提供する自治体が増えてきています。この間の状況を報告します。

この問題が判明するに当たっては、日本平和委員会からの情報で政令指定都市において「情報提供」する自治体が増えており、「名古屋は大丈夫か」との連絡がきっかけでした。のちに判明する名古屋市を含め、政令指定都市20のうち、少なくとも10の自治体が、「情報提供」を行っていることが明らかになりました。

名古屋市の対応を受けて、抗議と中止の申し入れを行いました(愛知版7月15日号で報道)。

これまで一般的な閲覧であったものから昨年「抽出閲覧」に変更。今年度から宛名シールに印字した1万8731人分の名簿を6月12日に提供するに至っています。名古屋市は「自衛隊法第97条、自衛隊法施行令第120条及び名古屋市個人情報保護条例第11条、第1項第2号の規定」を根拠とする回答を行っていますが、「情報提供」している自治体ほとんどが同様の回答をしています。

名古屋市に「情報提供」を中止するよう要請した問題点は、以下の通りです。

①自衛隊法97条や施行令120条では、自衛官募集の「資料提供を求めることができる」とありますが、応じる義務は無い。②地方自治体が個人情報を守ることは責務である。③住民基本台帳法の上で「情報提供」する根拠規定が存在しない。④「情報提供」する根拠に施行令120条をあげているが、③の法律で認められていないものが政令で根拠づけすることは困難であると指摘していますが、名古屋市やその他の自治体含め、明確な回答をできない状況となっています。

県平和委員会として、愛知県内54の自治体にアンケートを行いました。回答があった自治体は44となっていますが結果は以下の通りです。住民基本台帳の情報を自衛隊に閲覧させている自治体27。そのうち18才の情報のみ抽出して閲覧させている自治体は13。情報を自衛隊の要請(18才、氏名、性別、住所)に応じて提供している自治体は17。そのうち宛名シールに印字したものを手渡ししている自治体は2でした。

一般閲覧春日井市、北名古屋市、瀬戸市、尾張旭市、長久手市、東浦町、南知多町、岩倉市、愛西市、大治町、豊田市、知立市、刈谷市、高浜市
抽出閲覧小牧市、豊明市、日進市、一宮市、犬山市、江南市、津島市、あま市、岡崎市、みよし市、碧南市、西尾市、豊橋市
紙媒体提供清須市、豊山町、東郷町、半田市、東海市、常滑市、知多市、美浜町、武豊町、扶桑町、大口町、飛島村、豊川市、蒲郡市、設楽町
宛名シール提供名古屋市、大府市
データ提供無し
愛知県内54自治体中、44自治体から回答

以下特徴点は、宛名シールで提供は名古屋市と大府市。紙媒体で提供は、豊川市、蒲郡市、清須市、半田市、東海市などで、知多半島では、この自衛隊への「提供」業務に限って、住民基本台帳を扱う課から、防災課へと移すなど、政治的な背景が見え隠れしています。「抽出閲覧」となったのは、小牧市、豊明市、津島市、一宮市、岡崎市、豊橋市と中核都市が変化しています。中でも小牧市は、15才の抽出閲覧もおこなっており、15才以下の戦争への参加を禁じる「子どもの権利条約」に反することを行っています。

こうした中、県平和委員会は、全自治体に申し入れを行うためにキャラバン行動を開始しています。7月31日と8月4日に、春日井市、小牧市、北名古屋市、清須市、豊山町を訪問し、要請活動を行っています。清須市では、私たちの働きかけに、「提供については、再検討する」との回答を得るなど変化も作り出しています。戦争する国づくりを許さない運動を草の根から大きく広げましょう。