安保法制違憲訴訟 法廷はさながら安保学習会
「安保法制違憲訴訟」の第11回口頭弁論が、2月19日、名古屋地裁で開かれました。今回の法廷では、前回の第19準備書面で明らかにした、日米ガイドライン(日米防衛協力のための指針)によって憲法九条の解釈が変更・変質させられ国会での議論の前に日本の安全保障政策が決定されるというガイドラインプロセスを、法制度の面から明らかにする第20書面を中谷雄二弁護士が弁論しています。90ページに及ぶ準備書面を、骨子のみとはいえ15ページにわたって読み上げられた内容は、さながら「安保学習会」です。
第20準備書面は、1996年の「日米安保共同宣言」によって、極東の安定からアジア・太平洋地域の安定へ日米安保条約の性格が変化させられ、翌年の「新ガイドライン」以後周辺事態法、自衛隊法一部改定等々、国内法整備がすすめられた経緯を明らかにします。更に2000年の「アーミテージ報告」で、テロ対策特措法、自衛隊法及びPKO法改定から武力攻撃事態法、安全保障会議設置法にイラク特措法、国民保護法などの有事7法へと、アメリカのグローバル戦略に組み込まれるための国内法が作られていくのです。
2015年の「新々ガイドライン」では、日本政府は「集団的自衛権行使容認」に踏み込み、遂には「安保法制法」によって自衛隊の武力行使を可能にし、「専守防衛」もないがしろにされました。中谷弁護士は準備書面の最後で、「憲法に反する法律が意図的に強行成立させられ、『法解釈』に反する法解釈の変更を強行している」と糾弾します。
閉廷後の報告集会では、弁護団から裁判の進行状況と今後の方向についての説明がありました。13人の原告本人尋問、3人の証人尋問の陳述書及び意見書はすでに提出(一部は次回までに)し、原告本人尋問には2日間の開廷を要望しているとのことです。次回は4月23日(金)の予定ですが、弁護団では「原告・証人尋問に何人が採用されるか、裁判のヤマ場を迎える」と見ています。