安保法制違憲訴訟 自衛隊員が殺し殺される危険を訴えて

6/23 報告集会

「戦争する国へと近づいていくこの時期に、立憲主義が踏みにじられていることを目の前にして、違憲立法審査権を憲法に委ねられた裁判所が座視していることは、裁判所の任務の放棄である」―原告側弁護団の中谷雄二弁護士が、舌鋒するどく裁判官に迫ります。6月23日に名古屋地裁で開かれた「安保法制違憲訴訟」第13回口頭弁論では、事前に資料として提出したフリージャーナリスト西谷文和氏の取材によるアフガニスタン、イラク、南スーダンの現地映像が「必要性を認めない」と採用されなかったため、急遽準備書面を書き替えての弁論でした。

中谷弁護士は、2001年の「9・11事件」から始まる、アフガニスタン、イラク、南スーダンへのアメリカによる戦争拡大と、それに付き従った自衛隊が南スーダンで遭遇した「戦闘」について論じます。アフガニスタンではアメリカの空爆で3700人の民間人が、住民に対して銃を向け続けたイラクでは最大1万1232人が死亡。南スーダンPKOで首都ジュバに派遣された自衛隊は、2016年7月の4日間にわたった戦闘に「銃撃戦、砲撃戦が激しくなる度に、シェルターに退避行動をとった」といいます。帰還後には「2名が自殺、1名が傷病死」(政府発表)しました。

そして準備書面は、「安保法制が制定された今、米軍の下請けとして紛争地に派遣され、民間人を殺害し、自衛隊が殺される危険」を突きつけるのです。最後に、「裁判官以外に行使できない違憲立法審査権という任務の重み」を問いかけました。中谷弁護士は報告集会で、「裁判官に目で見てもらいたい」と映像の採用を改めて求めています。
原告による意見陳述は、アフガニスタンでの医療・水路建設を支援するペシャワール会の活動をしている八木巌さんが行いました。自らの活動に触れながら、「戦争に反対する私の日常的な感覚・努力が、安保法制で否定されていくようで耐えられない」と訴えます。次回は、9月3日(金)午前11時から開かれる予定です。