愛知を戦争拠点にするな! F35戦闘機の問題点

政府は、防衛装備移転三原則の名のもとに、武器輸出の動きを急速に強めています。

愛知県、東海地域にとって、重要となっているのが新型戦闘機F35の問題です。三菱重工は、共同開発への参加は断念したものの、最終組立・検査(FACO)と整備、修理、改修を行う整備拠点(リージョナル・デポ)の設置を計画しています。

▼被爆国日本、「専守防衛」の日本に相反する戦闘機

F35は、敵レーダーに捉えられにくいステルス性能を保有する戦闘機で、その性能は「専守防衛」を超えた敵基地攻撃能力を備えたもので、憲法9条の下で許されない戦闘機です。またF35は、米国の核戦略の柱とも位置づけられているB61-12核爆弾の搭載が可能ともいわれており、米国核戦略に組み込まれるだけなく、非核三原則日本に相いれないものです。

もともとロッキード・マーチン社などが作り上げてきたF35戦闘機の製造と維持管理の体制に、三菱重工、IHI(旧石川島播磨重工業)、三菱電機がアメリカの軍需産業の下請けとなってFACO(最終組立・検査)という体制に参入してきたというのが構図です。すでに三菱重工小牧南工場(豊山町)で最終組立がはじまっており(2015年12月)、今春初号機の最終組立完了が、ロッキード・マーチン社から発表されています。

また、F35整備拠点は、「国際的な後方支援システム」(LGS)に政府や三菱重工などが組み込まれたことを意味します。このLGSは、整備・補給を全世界規模で展開し、戦争態勢を整備するもので、日本の武器輸出の突破口になる危険性があります。それぞれの国がF35戦闘機の部品やエンジンを製造し、必要としている国に提供することを義務づけています。三菱重工などが、武器輸出に踏み出すことになります。日本での作業は、主翼と後部胴体、尾翼とエンジンの一部といった全体の4割のライセンス生産が認められており、残りの主要部分はアメリカ製となります。2017年度末に新編される「臨時F35A飛行隊(仮称)」に配備される予定となっています。

▼事故の危険性

2019年4月、航空自衛隊三沢基地所属F35Aが太平洋上で墜落しました。同型機は、墜落までに7回の緊急着陸をくり返し、内2回(17年6月冷却系統トラブル、18年4月燃料を空中で投棄)は県営名古屋空港に緊急着陸しています。

米国会計検査院は18年6月、「明白な欠陥」が966件あるとし、パイロットの酸素欠乏が6回も起きるなど、墜落の危険があると指摘してきました。防衛省は、この欠陥リストを持ちあわせていないことを明らかにしていますが、米国と米軍事企業に依存した関係が浮き彫りとなっています。

▼騒音問題

F35戦闘機の試験飛行 騒音マップ

また、騒音問題でも「これまでの戦闘機以上の爆音だ」という声が寄せられていますが、すでに米軍機の利用がされている嘉手納基地周辺では、騒音発生回数が大幅に拡大しています。

整備拠点の本格運用がなされれば、小牧基地周辺で爆音被害も予想されます。

三菱重工小牧南で組立てられた同機の試験飛行では、愛知県営名古屋空港周辺に耐え難い騒音が発生しています。

▼米国管理のもとの試験飛行

また最終組み立て後の「所有・管理」は、米国の下で試験飛行が行われています。

試験飛行において、米国による管理のもと、日本の施設や空域を使用した事例は過去ありません。試験飛行の機体は「日米地位協定適用の航空機」と位置づけられます。事故が起こった場合、沖縄と同様に警察、消防などの事故調査や検証はいっさいできない可能性が高いといえます。

県営名古屋空港や小牧基地は、日米地位協定上日米共同利用の基地として位置づけられておらず、法律上も条約上も規定がないまま、米軍の利用が行われていくことになります。

▼整備拠点問題

整備拠点の運用が7月、始まりました。すでに配備が始まっているA型機と、今後、購入する、B型機を合わせて147機の配備計画となっています。

「防衛省によりますと、航空自衛隊のほか、在日米軍や在韓米軍、それに、韓国軍のF35の整備も想定されていて、将来的には、1年間に30機以上の整備を行う」(NHK報道)とのことで、自治体や住民の説明も抜きに運用開始は許されません。米国の意向に影響されますが整備対象は、日本147機、韓国40機、シンガポール12機、米軍・岩国基地32機と合わせてアジア太平洋地域の200機超になることが考えられます。そうなれば、これまで以上の爆音被害も避けられません。

「愛知を戦争拠点にさせるな」の運動が一層求められます。