世界は価値観対立を超え国際協調へ 猿田佐世さん講演

猿田佐世さん講演資料より

安保破棄愛知県実行委員会・愛知県平和委員会は、猿田佐世弁護士・新外交イニシアティブ(ND)代表のオンライン学習会を、6月29日(木)民主会館2階を視聴会場として開きました。視聴会場に18人、オンラインに19人が参加しました。

54枚のパワーポイント資料をベースにしながら、安保三文書の内容、めざすべき外交、自治体の現場などについて、参加者の意向を確認して、多数を占めるものに時間配分して話されました。

日本が置かれている状況は、日本一国では、戦争になる理由がなく、日本が中国と戦争になるとすると、米中紛争である台湾有事に巻き込まれたときのみであることから、「台湾有事を回避」することこそ、日本の安全保障政策の絶対命題であると強調されました。

ところが、安保三文書は、米国陣営強化(同盟国・同志国)の抑止力・対処力(継戦能力)一本やりで、米国を補完し、米国を巻き込んでいく自発的対米従属の様相です。

しかも、日本の人的被害を語らず、国民保護の実態は「物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る」という代物です。そして、日本が軍事費を2倍にしても、中国の4割なのに、軍事力のみで中国に対抗しようとする愚かさです。なお、米国は中国の3・3倍です。

ではどうするのか。資料で配布された政策提言「戦争を回避せよ」に入り、とりわけ在日米軍基地から米軍が台湾出撃するにあたっては、「事前協議制度」があることから、「自主的な判断の結果としてイエスと答えることもあればノーと答えることもありうる」(3月6日参議院予算員会)と、岸田首相に答弁させたことを力として、政府に二枚舌を許さない世論喚起が求められています。

米中対立の主戦場となっている東南アジアではASEANが、米中双方に自制を促し、「米中のいずれか一つを選ぶという選択を迫られることを望んでいない」(シンガポール首相)のです。世界は価値観対立を超えた国際協調へと進んでいます。その流れは、とどまることはない、と強調。日本のとるべき立ち位置は、すでに「ミドルパワー」であると認識し、ASEANなどと連携し、米中緩和を呼びかけよ、と。