黙っちゃおれん訴訟控訴審 最高裁判決乗り越えられず不当判決

10/22 名古屋高裁

「私たちが求めるのは、『人権の砦』裁判所に『原発は国の責任』と認めてもらうことです」――2011年の福島原発事故により東海地方に避難している40世帯126人が、国と東京電力にその責任と賠償を求めた「原発事故人権侵害訴訟・愛知岐阜(黙っちゃおれん訴訟)」の控訴審判決法廷が、10月22日、名古屋高裁で開かれました。

開廷を前にした裁判所前集会では、弁護団の宮田陸奥男団長が「裁判官が最高裁判決を乗り越えられるか、勇気が試されている」と、昨年6月17日の「国に責任はない」とする最高裁判決を受けて、仙台高裁判決がそれに倣った形になったことを訴えます。原告団長の岡本早苗さんは、「声をあげざるを得なかった仲間の思いとともに法廷に挑みたい」と語りました。その後、原告・弁護団を先頭に「がんばれ」の声を受けて集団入廷したのです。

裁判官の判決言い渡しでは、国の責任について「予見は可能だったが、震災による海水流入は予測できなかった」の言葉と、「控訴棄却」も含む厳しい内容でした。裁判所前では、弁護士の掲げる「不当判決」「国の責任を認めず」の垂れ幕を前に、支援者から一斉に溜め息が漏れます。判決直後、宮田団長は「最高裁判決におもねたヒラメ判決」と憤り、岡本さんは「子どもにも分かる国の責任をなぜ認められないのか」と涙をにじませるのでした。

場所を移しての記者会見・報告集会で弁護団の田巻紘子事務局長は、「手立ての必要を認めた」(予見可能性)の点は前進面としつつ、取るべき手段があったにも関わらず国の責任を認めない判決を、「最高裁判決に忖度したもの」と批判しました。陳述にも立った原告の娘さんの、「陳述に判ったような顔をしていたのに……」の言葉が、胸に突き刺さります。