県営名古屋飛行場でオスプレイ ~利用の既成事実化は許されない~
5月20日(金)午後米軍機オスプレイ5機が、突如サミット警備を理由として県営名古屋空港に着陸しました。普天間基地所属のVMM―265ドラゴンズが岩国基地経由で飛来しました。
21日(土)には、小牧基地を離陸し愛知県内を飛行し三重県志摩市(中部空港経由)に向かっています。
オスプレイの利用について中日新聞報道によると、19日夜、愛知県に対し防衛省から連絡が入りましたが、防衛省からの要請で事前の公表をしなかった(セキュリティー上の理由)とされています。
しかし、セキュリティー上の理由であれば、なぜマスコミで一斉に報道されるのか疑問です。
サミットによる輸送やテロ対策については、その必要性を否定するものではありません。
しかしこれに便乗して、過剰な警備を行う事、県民に秘密にしながらオスプレイの名古屋空港利用を既成事実化することは、決して容認できるものではありません。
県平和委員会は、5月23日(月)アメリカ領事館、防衛省東海支局、小牧基地、愛知県航空対策課へ抗議と中止の申し入れを行いました。
この中で問題点がありましたので、紹介します。
問題点① 日米両政府と自治体が一緒に秘密裏に
全国各地で大問題となっているオスプレイについて、日米両政府は情報を国民県民に知らせないまま、県営名古屋空港・小牧基地を利用し、県内各地の空域を飛行しました。
愛知県航空対策課は、「政府の要請により事前に知らせるつもりはない。」「今後も防衛問題は『国の専管事項』として利用を拒むことはできない」と答弁。
この情報隠しについては、取材を行った記者からも驚きの声があがりました。
航空対策課に対して、県民に事前に知らせるよう厳しく要請しましたが、あまりにもひどい発言であったためかその日の記者会見で愛知県大村知事は「今後情報を事前に知らせることになる」と答えるなど、航空対策課の発言を打ち消しています。
沖縄県翁長知事は県民の命を守るためとして、沖縄県の権限を最大限利用して新基地建設を阻止するとしていますが、このようなことは「専管事項」問題を乗り越えていく事実でもあります。
問題点② 県民の命を守る自治体へ
今回の利用を通じて、日米両政府の横暴さが際立っています。
中日新聞5月22日付では、オスプレイが転換モードで飛行している写真が掲載されています(その他でも確認されています)。
転換モードは、その不安定さから事故が多発しており、日米合同委員会の合意文書でも「MV―22は、通常、米軍の施設及び区域内においてのみ垂直離着陸モードで飛行し」とされているように、米軍の勝手気ままに飛行が許されているわけでありません。
またオートローテーション機能(緊急着陸の機能)を有していない航空機であり、このことから航空法の基準を満たしていません(しかし安保条約を根拠に米軍機は定期用除外となっています)。
このような軍用機が県民の理解なしに飛行することは許されません。
このような問題について、愛知県は「今すぐ答えることができない」と返答しており、今後、県民の安心安全を守る立場から、自治体としてこれらの課題に取り組む必要がでています。
何より大村知事も賛同した、「安全性の確認ができていない現状では受け入れることができない」などとした政府に慎重な対応を求める決議(2012年全国知事会)の立場を実行させる必要があります。
※オスプレイは、プロペラの角度が垂直離着陸から水平飛行に切り替わる「転換モード」で不安定になるとされ、12年の2件の事故はいずれも転換時に発生。
このこともあり、日米両政府は普天間での運用に際し、「転換モードの飛行時間をできる限り短くする」とする覚書を交わしている。
問題点③ 東富士で訓練!?
今回の利用は、「テロ対策」「関係者の移送」が目的とされていますが、果たして本当でしょうか。
静岡県御殿場市東富士演習場では、小牧基地に飛来したオスプレイ1機が目撃されています。
東富士に飛来したオスプレイは、3週旋回し演習場内で2回着陸。(ここまでは小牧からの機体かどうか未確認。しかしその可能性は大きい。)
その後、キャンプ富士に着陸(ここで小牧からの機体と確認)しています。
オスプレイの利用目的は、横田(東京)、東富士(静岡)など利用範囲を拡大してきた流れを、県営名古屋空港にも広げる狙いがあるのではないでしょうか。
また全国で計画されている低空飛行訓練につなげる狙いもあるのではないでしょうか。