名古屋港に米軍艦船 ベトナム戦争以来の本格軍事利用

8月31日と9月4日、名古屋港は米軍の戦争物資で埠頭が埋め尽くされました。8月29日~9月21日滋賀県饗庭野(あいばの)演習場で計画されている日米合同演習(オリエント・シールド)で利用される米軍機材が積み下ろしされたのです。今回の部隊は、紛争地域に緊急展開するストライカー装甲車を装備した米陸軍緊急即応部隊で、訓練は紛争地で米軍と一体となった軍事介入を目的にしていることを意味します。

●96時間以内に世界のどこでも展開できる・・・ストライカー装甲車

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Green Lake

8月11日米国(ハワイ)を出港し、名古屋港には台風の影響で予定より遅れて入港しました。ストライカー装甲車10台を含む機材が、名古屋港98、99号岸壁(飛島村)に陸揚げされます。運搬するのは、民間船(主に米軍を輸送)グリーンレイク(8/31)と米陸軍兵站支援船ハロルドクリンガー(9/4)です。本来、埠頭への荷卸しは、港湾労働者が行うことと決められていますが、今回は軍事秘密などを理由に米軍関係者が装甲車などを埠頭に荷下ろししました。関係者からは「異例の事態だ」との声があがっています。
県平和委員会と安保破棄実行委員会、平和と憲法を守る港区連絡会は、これらについて、防衛省東海支局と名古屋港理組合に対して中止を求め申し入れを行いました。
管理組合は、「平和な商業港である名古屋港の軍事利用は好ましくない」と表明し、また朝鮮戦争やベトナム戦争以後、米軍の機材が民間チャーター船によって荷卸しされるのは「管理組合の資料を探す限りない」として初めてのことだと話しました。しかし、港湾法の「入港の平等」をもって「拒否しない」と表明しました。
これに対して、これまでの米軍の入港は「友好・親善」であったのに対し、今回は戦時訓練を目的にしていることは明らかで、商業港の軍事利用は許さない立場に立つべきだと迫りました。

ストライカーの揚陸

ストライカーの揚陸

ストライカー

陸揚げされたストライカー

●法的な根拠がない24時間ルール

 また、米軍からの一方的な要求で「24時間以内に米軍の入港の有無を明らかにしない」とする「24時間ルール」について、「法的根拠のないアメリカの要求に言いなりになるのではなく、安心安全のため市民・県民に明らかにするべきだ」とも要求しました。
申し入れを行った3団体は、名古屋港の利用時に、抗議の宣伝行動を名古屋港駅前で行うことを確認しました。
かつて、滋賀県の日米演習で四日市港が軍事利用されていましたが、核兵器の持ち込みについての照会を外務省通じて行った結果四日市港には、それ以降の米軍利用はなくなっています。今回の軍事利用は、滋賀県の演習場から見て四日市港に次いで利便性の良い名古屋港を利用したのではないかという懸念がでてきます。

積み込み

米兵の積み込み