原水爆禁止2012年世界大会 核兵器廃絶は、世界の圧倒的な世論

8月2日~9日、原水爆禁止2012年世界大会が広島と長崎で開催されました。愛知県から234人が参加しました。県原水協事務局長の嶺村さんに概要を、広島の閉会総会でききプロを報告した塚本さんに発言を寄せていただきました。感想は被爆者の萬屋さんと愛商連の豊田さんにお願いしました。

306 8月2日~4日の国際会議は、海外代表62人を含む700人が、4日~6日広島大会の閉会総会は7,200人が、8月8日~9日長崎大会の閉会総会は1,700人が参加しました。
 愛知県からはこの世界大会に、小学生から87歳までの234人が参加しました。
 今年の大会は、「核兵器のない世界」にむけて核兵器禁止条約の交渉を一刻も早く開始することを求め、「核兵器のない世界の扉を開こう」と呼びかけて開催されました。
 国連のバンギムン事務総長は「国連はみなさんのパートナーだ」とメッセージを寄せ、アンゲラ・ケインさんは「みなさんは歴史の正しい側にある。固く支持します」と話し拍手喝采。
 長崎市長は挨拶で参加者を「仲間」と呼び、大会の議論に期待を寄せました。2015年NPT再検討会議準備委員会で、16か国が発表した「核軍縮の人道的側面に関する共同声明」は、改めて核兵器の非人道性に着目して、核兵器禁止条約の締結を迫るという動きに対しても、禁止条約作りへの新しいアプローチとして注目されました。
 今年の大会は原発ゼロや再稼働反対の行動が、空前の広がりの中での大会であり、福島県浪江町長や南相馬の女子高生の訴えが共感を広げました。
 大会参加に向けて、愛知県の代表団会議では、署名や折り鶴を取り組んで参加しようと呼びかけ、実際に署名や折り鶴を持って参加する人や、報告会を決めて参加する人もいて、終了後すぐに海外代表も含め、あちこちで報告会が行われています。
 8月5日には1つのフォーラム・19の分科会が開催され、私は第7分科会に参加しました。「被爆の実相普及―原爆展、被爆体験の継承」では、被爆二世の会を作って活動しているグループや、広島で被爆した86歳の母とともに語り部活動をしている母子の発言、愛知のききプロ発言、フィジーやロンゲラップの核被害者の発言など、被爆の実相が詳しく伝えられ、核兵器をなくそうの思いが強く共有できた分科会でした。
広島の開会総会や閉会総会では、被団協・市長・国連・政府代表などの挨拶や、KUMIKOさんのうたごえ、青年や海外代表の決意、広島からの呼びかけの採択に続いて、海外代表や青年たちが壇上いっぱいに上がっての“みんなで歌おう”で、大きく盛り上がったフィナーレでした。
 この大会で鮮明になったことは、①核兵器廃絶は、国連を中心に世界の圧倒的な世論であること。②その世界の世論で、今こそ核兵器禁止条約を作ることが必要だと確認できたこと。③その世論を作りあげてきたのは、被爆国日本の私たちの署名を中心とした運動であること。④新たなアプローチとしての人道的視点も含め、禁止条約を作るためにいっそう草の根の活動が重要になっていることであったと思います。
 大会参加した私たちが、その場の感動だけに終わらせることなく、まずは周りの人たちにこの世界大会の内容を知らせ、世界から本当に核兵器をなくすために、地道にたゆみなく取り組みを広げていきましょう。


「ききプロ」DVDを海外代表へ手渡す
県平和委員会 青年・学生部 塚本大地

 8月6日に行われた、原水爆禁止世界大会広島閉会総会の中で「ききプロ」の活動について発言しました。
 今回「ききプロ」では、これまで撮影した被爆体験の聞き撮りを編集し、英語字幕をつけたDVDを作りました。そのDVDを海外代表に手渡し、海外でも多くの人にこのDVDを見てもらいたい、そして核兵器の恐ろしさを訴えてほしいと呼びかけました。海外代表のジョゼフ・ガーソンさんは色々な学校を回り、ぜひ子供たちに見せたいと語ってくれたと聞きました。
今回の世界大会では、核兵器の持つ非人道性について取り上げられることが多く、この非人道性を訴えるにはやはり被爆者の話を聞いてもらうことが大切だと思います。しかし、被爆者の高齢化もあり直接聞ける機会は少なくなってきています。そこで「ききプロ」の活動を通じて、映像を残し、DVDとして広げていくことで多くの人に核廃絶を訴えてほしいと話しました。
 発言時間内で言いたいこと全てを話すことはできませんでしたが、全国の多くの人に「ききプロ」の活動を少しでも知ってもらえたことはうれしく思います。
 これからも、DVDの作成だけでなく、被爆者の支援、被爆体験の継承などいろいろな課題がありますが、今回のことをきっかけに「ききプロ」に関心を持ってもらった人と一緒に「ききプロ」の活動を進めていきたいと思っています。


感想

充実した3日間 愛友会 萬屋家隆さん
307 わたしは愛友会の役員として、原水協から招待され8月4日~6日の3日間、世界大会広島に参加しました。
 1日目は8時40分集合、新幹線で広島へ、14時から2012世界大会広島の開会総会に参加、16時50分から愛知県代表団会議に参加し、初参加なので被爆者を代表して発言、団会議は17時50分に終わりました。
 2日目は9時30分から分科会(青年のひろば―学習・交流と被爆者訪問)に14時30分まで参加、13人位のグループにわけ、自己紹介から始まりました。被爆者の体験を話し、原爆の恐ろしさ、放射能による後遺症など証言し、質問を受けました。青年の考えを聞き、中でも福島県の女性は、原発による放射能問題で、地元の人たちが悩んでおられる事を話されました。途中、被爆者は15時30分から被団協の集会に参加しました。
 3日目は8時15分広島原爆慰霊祭に参加し、67年前を想い、なくなった方々の冥福を祈り平和な現世に感謝しました。野田首相の挨拶は抽象的な話ししかしませんでした。
 10時30分~13時、世界大会広島閉会総会に参加し、核兵器廃絶、原発ゼロを採択されました。充実した3日間だったと思います。

多数派めざす決意 愛商連 豊田宏さん
 愛商連は、事前に被爆者の話やDVD「わしも死の海におった」鑑賞の事前学習会にもとりくみ、代表派遣カンパは29万円寄せられ、全員初参加の、5人で広島へ。  
開会・閉会総会や様々な企画で、核廃絶の取り組み、被爆者の方たちの思いを聞く機会が持て、さらに済州島での米軍基地建設反対での涙ながらの訴えや、福島・浪江の馬場有町長のあいさつに何度も目頭が熱く…。さらに、世界中の核廃絶、平和への思いを持って活動している仲間たちの姿も大いに実感でき、改めて、実際に参加しなければ、伝わってこないという思いを強くしました。「動く分科会」や広島平和記念資料館を見学し、核兵器使用の疑う余地のない「非人道性」や米政府の原爆投下にあたっての殺傷力データの収集にも激しい怒りを感じました。これからは核兵器禁止条約の交渉開始を求める広範な多数派めざして、署名など地域の運動、世論作りを進めていく決意です。