強まる軍事強化 すすむ集団的自衛権の行使

日米共同訓練の実態から

蒲郡港に入港した空母いずも

昨年末から2020年2月末にかけて、日米共同の訓練が積み重ねられています。これまでの年に1度あるかないか程度の、米軍との共同訓練がまさに常態化し、「本土の沖縄化」、「愛知の沖縄化」がジワリとすすんでいます。

訓練の概要は、①12月初旬、滋賀県饗庭野で日米共同演習フォレストライトが行われ、三重県明野基地において、自衛隊基地としては初となるオスプレイへの給油が行われています。②2020年2月1日から10日まで伊勢湾沖で日米の機雷掃海訓練が行われました。毎年実施している訓練ですが米軍参加は初めてとなります。③2月21日~23日、日米統合防災訓練が、蒲郡市の三河港に空母「いずも」の入港をはじめ行われました。平和委員会は、この3つの訓練に対してそれぞれ中止を求めて申し入れを行っています。

機雷訓練に水陸機動車

各訓練の特徴点は以下の通りです。①のフォレストライトでは、本格的な核戦争を想定した訓練が行われました。米軍ホームページでは「科学、生物、放射線、核除染訓練を実施した」と紹介しました。自衛隊は、除染などの専門部隊ではない普通科部隊が参加しており、訓練は核戦争を意識したものになっています。この背景には、トランプ政権による「核態勢の見直し」があります。それまでのオバマ政権の核の使用条件を大幅に緩和し、先制使用も念頭に「低爆発力兵器の開発」など「使いやすい核兵器」と位置付けるなど大幅に舵を切っています。訓練は、核戦争時にも任務遂行ができる部隊の熟練度を深めたといえます。また訓練では、オスプレイが明野駐屯地を利用したものの、出発の際に煙があがり、数時間程度出発できない状態が起こったことも深刻な問題です。

核除染訓練

②伊勢湾で行った日米機雷掃海訓練は、海の地雷である機雷を除去する訓練を行う目的です。日本の周辺海域を外国の軍艦が機雷封鎖することは考えられず、海外での軍事行動のための訓練なら憲法上許されないものです。さらに、自衛隊版「海兵隊」とも言われる、水陸起動団の水陸両用車が利用されました。防衛省は「水陸両用車によるレーダーによって、機雷を探知する」と話しますが、上陸作戦に通じる訓練が行われた可能性が指摘されているところです。

③日米統合防災訓練は、演習ではなく防災訓練であるものの、異様な訓練が展開されました。同時に連接して陸上幕僚監部が行う、実動演習(南海レスキュー01)には、オーストラリア軍も参加し、日米豪の共同訓練となります。
「防災訓練」を名目にしていますが、国土交通省や自治体が主導してきた、これまでの防災訓練とは違い、米軍・自衛隊の訓練計画に自治体が参加しているという状況と言えます。災害出動が関係自治体からの要請を前提にする自衛隊法に反するものではないでしょうか。訓練は、三河港に空母いずもが給水活動として飲料水の搬送、ヘリコプターによる被災状況の確認、航空自衛隊小牧基地では、米軍C130による、米横田基地より物資の輸送などが行われました。日米防災訓練は、戦闘訓練と表裏一体であるという面を見逃すことはできません。司令部の組織、指揮、偵察、情報収集、移動、進出拠点の確保、輸送、後方支援、医療衛生、死傷者の収容搬送などなど、戦闘訓練と防災訓練の実態は共通したものです。専門家からは、「東日本大震災に出動した米軍と自衛隊に武器を持たせれば、そのまま有事に転用できる」と指摘されています。

「集団的自衛権の行使」容認をした安保法制=戦争法は、日米の活動を大幅に変化させてきました。しかし、訓練などの実態はそれをはるかに超える状況となっており、これを許さない世論と運動が求められています。