オンライン ビキニ集会 日本原水協集会 愛知から36カ所
アメリカがビキニ環礁で行った水爆実験の被災から67年、2月28日に3・1ビキニデー日本原水協全国集会がオンラインで開催されました。昨年は、新型コロナ感染拡大の影響で、全国集会、ビキニデー集会共に中止となったため2年ぶりの開催となりました。
愛知県では、県原水協が民主会館で視聴会を行った他に、地域や個人での視聴が36カ所で取り組まれました。
小畑雅子全労連議長の「核抑止の行きつく先は核軍拡しかありません。日本政府は今すぐ条約への参加を」との力強いあいさつで始まり、安井日本原水協事務局長からの基調報告では、「核兵器禁止条約の発効を力に、核兵器のない世界へ前進」するために「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」を幅広い共同で広げ、その中で圧倒的な世論をつくる行動に取り組もうと提起されました。
海外代表の発言として、イギリスのデイブ・ウェブ核軍縮キャンペーン(CND)議長からは、国内の多くの自治体が条約支持の決議を採択し、56人の国会議員と86人のスコットランド議会・ウェールズ議会の議員が支持の誓約書に署名していて、この数をさらに増やす取り組みが行われていることが語られました。
全国の運動報告では、北海道からは条約発効を祝い全道でアピールを行い、氷点下の中でもスタンディングや雪だるまにメッセージを書いてアピールしたこと、宮城県、滋賀県では署名推進の「県民の会」が設立され、滋賀県では会の呼びかけ人に元知事3名と現職の市長が名前を連ね、生協、医師会、保険医協会などとも共同して幅広い取り組みが行われていることが報告されました。神奈川県の鎌倉では、昨年平和行進が中止となった代わりに12月に平和デーのイベントを行いのべ200名が参加してくれたことなどが報告されました。
3・1ビキニデー集会 国連の中満軍縮上級代表も
3月1日に開催されたビキニデー集会をオンラインで視聴しました。
来賓挨拶をした国連軍縮担当上級代表の中満泉さんは、キャッスル作戦のブラボー実験は水爆の壊滅的な破壊力と核兵器の愚かさを永久に伝えている。核の脅威は受け入れがたいほど高い。すべての国が核軍縮を追求する義務がある。核兵器のない世界は実現可能。そのために決意と対話、協力する意思が必要だと述べ、これからも力を合わせて平和で安全な世界を、と呼びかけました。
続いて、中野弘道焼津市長は、焼津市は毎年6月30日に、核兵器廃絶と恒久平和の実現を訴える市民集会をはじめとした平和推進事業を通じて、市民が平和を愛する心を持ち続けるよう取り組んでいることを紹介しました。
日本被団協事務局次長の濱住治郎さんは、原爆の被害は今も続いている。核抑止で平和が守られるという冷徹な理論は許さない。核の被害を繰り返さないために、憲法を守り生かす社会を、と力を込めました。
政党や、広島・長崎の両市長、静岡県知事、高校生平和大使静岡派遣委員会、第5福竜丸記念館からの中継など、オンラインならではの多彩なメッセージが発せられ、小島太郎さんによるピアノ演奏も参加者の心に響きました。
映画監督の坂田雅子さんは、ビキニを見れば福島の60年後が見えるのではないかと考えマーシャル諸島を取材した。水爆実験の放射能は、広島の原爆を毎日10年間浴びせたような威力で、今も汚染されている。さらに温暖化による気候変動の被害もうけていると、映像を紹介しました。
静岡や大阪の署名行動、折り鶴を家に飾る運動をしている新潟など、工夫をこらした取り組みが紹介されました。のべ270隻の船がビキニで被災した高知から、被災の事実も知らされずに放置された乗組員を救済するため、労災認定訴訟の支援が訴えられました。
612スポットの視聴があり核兵器はなくせると展望が持てる、素晴らしい集会でした。
第1分科会「新しい署名の全国交流」署名が待たれていた
「署名の力で日本政府の条約参加を迫る圧倒的な世論を作ろうとの行動提起に応え、署名の飛躍を作るために、とりくみの工夫や市民の反応を出し合い、学びあう場にしたい」――新婦人中央常任委員の平野恵美子さんの行動提起で始まった日本原水協全国集会第1分科会「新しい署名の全国交流」には、全国各地で「批准を求める署名」運動にとりくんでいる16団体が発言に参加。143カ所で多くの人々が視聴しました。
真冬日の中、道内各地での禁止条約発効の喜びに溢れた行動を報告する北海道原水協事務局長、新署名に並んで署名する市民の姿に「署名が待たれていた」と強い思いを語ります。熊本では、上天草市の分庁舎や苓北町役場に「祝禁止条約発効」の垂れ幕を掲げた経験を。広島にあっても「ヒバクシャ国際署名」を知らない市民がいたことを語り、「知らせること、広げることの大切さ」を訴える広島県の新婦人の女性。参院補選で野党共闘が成った長野県、「野党共闘と併せて署名を広げる」と力強い発言。
愛知からは、大村義則県原水協代表理事が発言に参加しました。コープあいちやみなと医療生協、あいち保険医協会などともに運動をすすめている団体が先進的に署名を集めていること、署名の幅広い推進体制へ新しい「県民の会」の準備を始めていること、3つのを始めていること、3つのアクション目標で平和行進にとりくむことなどを報告しています。
発言の「まとめ」では、「署名推進の力を地域から作っていく」ことが強調されました。
第2分科会 「非核平和のアジア」局面は新たな段階へ
第2分科会は、「非核平和のアジア」と題して、国際代表の方々からの報告で核兵器禁止条約発効後の情勢と運動の意見を交わしました。米国ジョセ・フガーソンさんは、バイデン政権発足後のアジアの問題点の中心に米中対立が存在し、その危険性が増しているとの認識を示しました。一方で同盟国の中で「1カ国でも、批准すれば核体制の政治構造を瓦解させる弾みになる」と指摘します。その背景には同盟国である、ベルギーで政権公約に、またスペイン議会では賛成決議が採択されるなどの動きが活発で、世論調査でも条約参加の賛成世論が多数となるなどの市民の声があります。韓国のイ・ジュンキュさんは、2018年の米朝共同声明で、米国は「北朝鮮への安全の保証」を、また北朝鮮は「非核化」を合意したこの内容を具体化できるかどうかが大切として、国際世論の重要性を強調しました。フィリピンのシンブランさんは、「今年の2月1日に禁止条約に批准手続きを完了させた」とうれし批准手続きを完了させた」とうれしい報告を行いました。それは1987年マルコス政権からの民主化運動の中で、新憲法に非核条項が盛り込まれ、これが「今に続く大きな影響を与えた」と発言。市民の力の変化を感じます。日本を代表して土田さんが発言。日本政府に批准をせまる署名運動の重要性を強調しました。米中対立による国際情勢の深刻さと裏腹に、核兵器禁止条約発効によって局面は明らかに新たな段階に移ったと言える状況が交流されました。
初参加の声 第2分科会の感想
私は資料にあった、多くの核実験で故郷を離れなければならなかったマーシャル詩人の言葉の中で、「骨のない赤いクラゲのような赤ちゃんの話」に驚愕しました。人間だけではありませんが、あらゆる動物や植物たち生物すべてが持っている、その生物として生まれ生育していく設計図であるDNAを破壊し、この世のものとは思えない命を作ってしまう、「核」という物質の恐ろしさを感じます。
今、日本では多くの国民が、政府は「核兵器禁止条約」に参加するべきだと答え、531の自治体が決議をあげています。世界中の今生きている私たち世代や、次代に生きる人たちの、生物として、そして人間としての平和と安全のために、これからも「核兵器禁止条約」促進の声をあげ続けなければと思いました。