安保法制違憲訴訟 9条の歯止めがなくなった日本の行方

4/23 能楽堂

「憲法違反の安保法制法の制定と自衛隊の海外派兵がどのような事態をもたらすか」―4月23日に名古屋地裁で開かれた「安保法制違憲訴訟」第12回口頭弁論で、原告側弁護人から出された第21準備書面はドイツの経験から今後の日本の行方を予測、証拠の3件の動画データとともにその危険性を論じました。

西ドイツの時代、朝鮮戦争勃発を契機にドイツは再軍備の方向へ舵を切ります。その後NATOに加盟し、東西ドイツ統一後には湾岸戦争を通じて、1万人もの兵士がドイツ国外に駐留することになったのです。アフガン戦争では米国を中心に3565人の戦死者を出しますが、ドイツ軍も54人の犠牲を出しました。侵攻されたアフガニスタンでは、4万2162人の民間人が殺されています。準備書面は、ドイツの経験が憲法9条による「海外派兵」の歯止めを解禁した日本の今後の姿であることを、如実に示しているのです。

更に第22準備書面では、安保法制法の発動された時に国民の権利・自由がどのような状況に置かれるかを述べています。国民保護法制が「国民を保護する」と言いつつ、国民を統制し、動員するために国民の権利・自由を制限する法律であることを明らかにして、戦争を前提とした安保法制法の数々が日本国憲法の平和主義と相反するものであると断じました。

原告の意見陳述には、松田正久さん、安達葉子さんが立ちました。元愛知教育大学学長の松田さんは、学者として「9条に照らして物事を判断して生きることの重要性」を訴えて、「今、声を上げなければならない」の陳述からはマルティン・ニーメラーにはなるまいとする思いが伝わってきます。次回口頭弁論は、6月23日(水)の予定です。