自衛官募集問題 「情報提供」は法に反する

全国の自治体が18歳、22歳の個人情報を自衛隊に提供している問題について、法律上の問題点を整理します。

第一に、住民基本台帳法第11条に違反しているのではないかという点です。平成18年の同法改正により住民基本台帳は原則非公開となりました。同法11条では「国や地方公共団体は法令で定める事務の遂行のために必要な場合、市町村長に対し、住民基本台帳に記録されている情報について閲覧することを請求することができる」旨が示されています。これは「原則非公開」であり「閲覧を請求すること」までしか規定していないことから、閲覧以上の行為を認めておらず、同法11条に違反していると言わざるを得ません。

第二に、防衛省が法的根拠としている自衛隊法第97条、自衛隊施行令第120条は筋違いだという点です。自衛隊法第97条では「都道府県知事や市町村長は、政令で定めるところにより、自衛官の募集に関する業務の一部を行う」、同法施行令第120条では「国が自治体に対し、必要な報告又は募集に関する資料の提出を求めることができる」としています。募集に関する資料の中身は同法施行令第115条〜119条に規定されていますが、個人情報の提供については規定されていません。自衛隊法や同法施行令を法的根拠とするのは筋違いです。

第三に、国は個人情報保護法の例外として提供を認めるとしていますが、法的根拠はなく、住民基本台帳法に照らせば、その違法性に変わりはありません。

近く除外申請がはじまることから、注目が集まりますが、しっかりとその違法性を訴えましょう。