第75回県平和委員会定期大会 強く大きな平和運動を!
愛知県平和委員会は6月30日、労働会館東館ホールとオンラインを併用し第75回定期大会を開催しました。参加者は57人 (14組織・オンライン6人含む)、21本の発言がありました。
県平和委員会は、殺傷武器輸出反対運動で、目標を超える5233筆の署名を国会に提出、組織的には、前大会比で会員数36人増、読者10部増で大会を迎えました。
議案報告では、次年度の活動の柱を、①愛知が 大軍拡と武器輸出を支える兵器の生産拠点であることを伝える学習宣伝活動をよりいっそうとりくむ、②地域平和委員会では、学習・宣伝、フィールドワークなどとりくみを通じて仲間づくりを進める、③この間成果をあげてきている世代継承のとりくみをいっそう前進させる、④2025年秋季に愛知で開催する日本平和大会やプロジェクト80thの成功へ全力をあげる、と提案しました。
情勢をめぐっては、「米軍の指揮下の戦争に隊員を送り出したくない」(守山区)、「殺傷兵器の輸出に港を使わせる訳にはいかない」(港区)との想いが語られるとともに、「三菱重工が数千人のエンジニアを募集している。エンジニアとして生きていこうと思うと戦争協力が避けられない」(千種区)と深刻な事態も報告され、政治を変えることの重要さが浮き彫りになりました。
こうしたもと、討論では2つの地域から結成の決意が語られました。1つは西区。「空自小牧基地周辺を低空で飛ぶ自衛隊機を間近に感じている」など会結成の問題意識の一端も報告されました。2つ目は熱田区。先の大戦で、軍需産業であった愛知時計の「平和地蔵尊」を撤去して会社側が建てている「殉国諸霊魂ノ冥福ヲ祈」るとある地蔵尊に合祀する計画が持ち上がり、反対世論を高めいったん中止とさせています。発言者からは「平和委員会を結成して平和運動を広げたい」との想いも語られました。
青年・学生部、中高生へのはたらきかけの交流も豊かに語られました。高校生に対しては、名簿提供問題での宣伝・対話、世界大会や高校生集会への派遣、戦争展への参加などを重視して取り組んできました。また、支援者会議への参加もよびかけ、高校生が「自分たちで学び考える」学習と行動となるよう配慮してきました。援助者からは、「自分の取り組みが、自分自身の勉強にだけでなく、大人世代を励ましていることに気付いている」ことも報告されました。
第75回定期大会で選出された役員
理事長 小島 俊樹
副理事長 城下英一 林 達也 三浦 米吉
事務局長 矢野 創
事務局次長 坂本 敏彦 滝田 伸幸
すすむ自衛隊の対米従属 記念講演 三宅裕一郎さん
午前は三宅裕一郎さん(日本福祉大学教授)が、「すすむ自衛隊の対米従属――改憲動向と私たちのたたかい――」と題して記念講演を行いました。
岸田政権がすすめている抜本的な防衛力の強化は、日本の安全保障のためではなく、米中対立の構図の中で米軍の先兵として自衛隊を利用しようとするものです。日本の集団的自衛権解禁、秘密保護法制定、武器輸出三原則の撤廃、反撃能力の保有などは、アメリカの軍事戦略文書に記されている内容と、時期的にも見事に合致しています。日本政府がアメリカのいいなりでこうした軍拡路線をとってきたことは明白と言えます。
防衛力強化と言いますが、たとえば「敵基地攻撃能力」は、攻撃のための情報を米軍のシステムに頼るほかありません。陸海空3自衛隊部隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」の創設にしても、在日米軍や太平洋艦隊などとの連携強化を想定しています。つまり、自衛隊がアメリカの指示に追随する形が整えられるということなのです。
台湾有事がささやかれ、私たちは中国に対する漠然とした不安を否定することができません。しかし、軍事力による抑止力がひとたび破綻すれば、戦争はくい止められないのです。ですから、どんなにハードルが高くても、戦争を回避するための外交、少数の既得権益層ではなく、市民の声が反映される外交が必要なのです。私たちも、アジア諸国やアメリカの良識ある市民と連帯して声をあげ、アメリカ・中国双方に自制を求めていくことが可能ではないでしょうか。」
「ガザからの避難民も救いたい」もとむら衆議院議員の特別発言
午後の部では、駆けつけてくれたもとむら伸子衆議院議員から特別発言がありました。
「イスラエルによる攻撃が続いているガザから、NGOに日本に避難したいという声が届いています。ウクライナからの避難には政府が対応していますが、ガザの避難民については、まだ手が差し伸べられていません。今、私たち超党派の議員でなんとかしたいと頑張っています。日本に来ても、難民認定がされなければホームレスになってしまうかもしれないのです。
こうした難民を生まないために、この世界から紛争をなくすために、平和憲法をもつ日本が先頭に立って努力しなければなりません。それなのに岸田政権は、逆に大軍拡をすすめようとしているではありませんか。昨年度の防衛予算では、イスラエル製の攻撃用ドローンの購入を決めました。イスラエルに利益を与えていると知ったら、ガザの人たちはどう思うでしょう。
岸田軍拡はそれだけにとどまりません。県民の反対を押し切って、沖縄にはスタンド・オフ・ミサイルが配備されます。そのうち5種が小牧の三菱重工、1種が各務原の川崎重工で生産されます。この地域がまさに軍事産業の拠点なのです。もはや一刻の猶予もありません。政権交代を成し遂げ、平和国家の根幹をゆるがす暴走をくい止めましょう。」
仲間づくりから紛争なき世界へ 定期大会発言より
被爆80年に向けて県原水協が考えていること 佐竹康行さん
来年は、被爆80年。日本原水協が「非核日本キャンペーン」を提唱し、それを受けて2月18日の愛知県原水協定期総会で「ビキニ被災70年から被爆80年をめざした非核日本キャンペーン」「プロジェクト80th 被爆者とともに核なき世界をみよう」キャンペーンを決定しました。
被爆者運動を協同で継承・発展させる取り組みを進展させます。瀬戸で被爆二世も巻き込み、被爆者団体をつくる準備のために大村さんが今、行っています。
被爆者の方々も被爆80年に向けて頑張る決意をしており、被爆者支援を更に強め頑張りましょう。
仲間づくりの裾野広げて 松下彰宏さん(あま東部平和委員会)
平和行進など全国・全県的に人々の平和への関心が高まる時に、資料を準備し、目標をたてて、仲間づくりに取り組んできました。
今年の仲間づくりの特徴は、「いつでも、どこでも、誰にでも」とともに、「みんなで仲間づくり」が進んだことです。平和行進だけでなく、地域平和委員会の普段の取り組みの中で、参加者によびかけて仲間を迎え入れています。
組織は、放っておけば自然減を含め後退は必至です。仲間づくりの裾野を広げて、「みんなで仲間づくり」をくり広げられたら、年間目標ばかりか、かつての1000人の県平和委員会も夢ではありません。数の積み重ねは、必ず県平和委員会の質的変化を促します。それが、弁証法の法則です。
平和バスツアーも大盛況 吉井桂司さん(港区平和委員会)
「ららぽーと名古屋みなと」で毎月1回の街頭宣伝活動をはじめて6年になります。核兵器禁止条約の批准を求める署名を集めています。活動を続けるうちにだんだんと仲間が増え、原稿をたくさん書いて呼びかけのスピーチをして
もらえるようになりました。5月には「平和バスツアー」を企画し、今回は半田市を巡りました。マイクロバスがすぐにいっぱいになり、大盛況でした。
ご承知の通り愛知は武器産業が盛んですが、殺傷兵器の輸出に、私たちのこの名古屋港を使わせるわけにはいかないのです。
戦争に賛成の人はいない 加藤ゆうきさん(西区平和委員会準備会)
私たちは西区平和委員会を作るため、このたび準備会を立ち上げました。先日は副理事長の城下さんを迎えて学習会を開きました。
戦争をすることに賛成の人はいないと思います。でも、愛知の製造業が兵器製造に携わり、この地域が国際紛争に色濃く関与してい
ることを知っている人は少ないのです。先の大戦では、実際に戦闘が行われた期間はそれほど長くなくても、それ以前から長きに渡って着々と戦争に向けた準備が進め
られてきました。今の日本の状況もそれと似ていると思います。午前の三宅さんの講演を聞いてその思いを強くしました。
組織拡大の目標と展望 坂本敏彦さん(県事務局)
今大会では、36人増やして迎えることができました。世界大会、戦争展、平和行進など大きな企画で意識的に仲間増やしに取り組みながら、地域でもコツコツ増やしてきた成果です。1000人の組織拡大目標を持って、取り組むことを改めて確認したいと思います。
今年の世界大会には、9人の中高性が参加し焼津の集会には2名の高校生、原発の学習会に11名が参加しています。大学生への働きかけも行い、西谷文和さんを招いての緊急ルポ「パレスチナの今を語る」には6名の大学生(27名の若者、全体で50名)が参加しました。若者への働きかけを全体の課題として強め、若い世代の会員を増やしていきましょう。