12・8不戦のつどい「戦争の文化と子ども」~知らず知らずに巻き込まれる子どもたち~

今年の「不戦のつどい」は、東海高校教員の西形久司さんに表題のご講演をいただきました。参加者はオンラインを含め46人でした。

日本が外国との戦争を最初に行ったのは日清戦争です。戦死者が出ると出身の村では盛大に葬儀を行い、これが村人には羨望の的でした。葬儀は戦争で「国家のため」に死ぬことが「名誉」にほかならないことを教える場でもあったのです。「献納」(カンパ)もあり、子どもたちにとっては、もらったばかりのお年玉を召し上げられる受難のときでした。遊びや暮らしにも戦争が影を落としていました。

さらに、アジア太平洋戦争の頃になると、学びも遊びもどっちを向いても戦争、という世の中になっていきました。羽子板にも三国同盟の国旗が印刷されたものがありました。男子には、雑誌『少年倶楽部』に掲載された漫画「のらくろ」が、「日本の兵隊は強くて勇敢だが、敵は弱くてだらしない」という先入観を植えつけたのではないでしょうか。

無限の可能性をもち、どんな色にも染まり得る子どもたちにとって、教育や文化は決定的に重要なものです。それが戦争一色に染まっていた時代に子どもたちはどのように戦争にまきこまれていったのでしょう。「過去に学ぶことはとても大切なこと。私たちは 子どもたちにどんな社会を手渡そうとしているのだろうか」と西形さんは結ばれました。