学習会 自衛隊への名簿提供問題

瀬戸 同意なき情報提供は不法行為

2/1 瀬戸市

2月1日、瀬戸市平和委員会は、「自衛隊への個人情報の提供を許すな」と学習会を開催。講師は中谷弁護士です。予定していた40席ではたらず56人が参加し、立ち見も出るほどの盛況でした。

中谷弁護士は、奈良県で提起されている裁判が重要だとして、訴訟について紹介しました。

「問われているのは次の6点です。①本人の同意なく自衛隊に個人情報を提供することが許されるのか?②どんな権利を侵害されているのか?  プライバシーの権利(除外申請制度の存在は? あぶり出し効果と思想・信条の自由の侵害)③自衛官の募集のために自衛隊に情報を提供することは許されるのか?④奈良市が保有する住民基本台帳に登録されている個人情報は、何の目的で保有・利用されるのか?⑤同意のない目的外の提供・利活用は、許されるのか?⑥奈良市が情報を提供した行為の法的根拠は何か?それは適法な行為か?

その上で、最高裁判例を示しつつ、本人の同意のない情報提供は不法行為だと指摘しました。同時に提供先である「自衛隊」についての問題に踏み込み、憲法の適合性=合憲と認定されたことは一度もないことや、国際法上では軍隊として扱われることなどを説明しました。

また、自衛隊をとりまく情勢も大きく変化しています。「台湾有事」が強調され、南西諸島への自衛隊のシフト、軍事強化がすすんでいること。戦争する体制づくりとして、秘密保護法、共謀罪、重要土地規制法、経済安保法、能動的サイバー防御法など国内法の整備がすすめられていること。自衛隊内の訓練事故・人権侵害・自殺など深刻な事案が多発していること。「募集対象となる青年にこれらの事実が伝えられていないのは問題」と語ります。

最後に中谷弁護士は、柳澤協二さんの「自衛隊隊員の人権を守ることは、自衛隊に戦争をさせないための活動」との言葉を紹介し、市民の声と運動の重要性を訴えて講演を締めくくりました。

瀬戸市平和委員会は、この学習会に向けて瀬戸市宛の署名を400筆以上集め、また高校門前の早朝宣伝も何度となく行ってきました。それだけに質疑応答や意見交換も活発で熱気あるものとなりました。

小牧 若者を戦場に送らない運動を

1/26 小牧市

小牧平和委員会は、1月26日(日)小牧市公民館で、奈良県平和委員会の河戸憲次郎理事長を招き、「自衛官募集の名簿提供問題」学習会を開催しました。20余名の参加です。

奈良の高校生から「自分の個人情報が自衛隊に本人の承諾もなしに渡っていることがすごくおかしい。争いごとは話し合いで解決すべきと思っている。自衛隊から勧誘のハガキが届いたことは、やっぱり怖い」という声がありました。家族や河戸氏などの働きかけで、この高校生は「自分が原告になることで、若者の個人情報提供を止めるようにするために少しでも役に立てるのなら、という気持ちで原告になることを決意しました」と話しているそうです。

個人情報保護は基本的人権に関わる問題個人情報保護法で提供が許容される範囲は「犯罪や違法不正の調査、民事裁判、感染症予防、児童の保護」など広く社会全体の利益に関する規定であり、また、住民基本台帳法には個人の4条件をまとめて提供を可能にする規定は存在しません。ですから、能登半島地震などの災害でも、氏名は「本人や家族等の承諾」を基に公表されています。

自衛隊法等には名簿提供は義務付けされていない

自衛隊法や同施行令には、名簿提供が義務付けされた規定もなく、個人情報保護について全く触れていません。

自治体に対し、「個人情報保護法で提供ができる内容を教えて?」とか「自衛隊法等で個人情報も提供できる規定なのか?」「住民基本台帳法には個人の4条件をまとめて提供できる規定はあるのか?」などを問いかけることが大切です。

さらに、高校卒業予定者に対する職業紹介では、「家庭訪問の禁止、学校訪問についての指導、文書募集に対する指導」などの規制がされています。提供された名簿には、18歳以下の未成年も含まれており、職業安定法などからも問題があります。

裁判所は「本人原告」のため門前払いできない

河戸氏は、①この問題の学習運動をすすめる、②住民に事実を知らせる、③署名運動や自治体との交渉を行い名簿提供・閲覧をやめさせる、などの運動をすすめ、さらに、個人情報を提供された本人が原告となって裁判を起こしたり、住民監査請求をしたりすることが重要、と話します。

「この運動は、若者の人権を守る取り組みです。『「若者を戦場に送らない』運動をみんなで築いていきましょう。」と河戸氏は訴えました。