「表現の不自由展・その後」中止 背景に歴史修正主義

9/13 愛知芸術文化センター

「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が右翼の脅迫や政治家の検閲行為によって中止になったことに、革新・愛知の会などが9月13日、「『表現の不自由展・その後』と歴史の真実」と銘打った緊急シンポを行いました。早急に再開を求めるために「トリエンナーレ」と同じ愛知芸術文化センターにて開催するという、時宜と場所に叶ったとりくみです。緊急にも関わらず200人の市民が参加しています。

自身の作品が「表現の不自由展・その後」に参加している写真家の安世鴻(アン・セホン)さんは、「中止の表示はあったが理由は明らかにされていない。作家としては残念でならない。この社会は何を見せることができ、見ることができるのか」と、脅迫・検閲への憤りと一方的な中止への怒りを露にしました。
更に安氏は、この行為が作家の表現の自由とともに、観客の見る権利、知る権利を奪うという、二重の誤りを犯していると批判します。そして、「作家が自らの作品を検閲するような時代になりかねない」と憂慮するのです。

「あったことをなかったことにする」――高橋信県平和委員会理事長は、今回の脅迫・検閲の背景に歴史修正主義の存在を指摘しました。「徴用工ではなく朝鮮半島出身の労働者」「日韓請求権協定で被害者に(賠償金が)支払われて解決済み」の安倍政権のウソとそれをくり返し垂れ流すマスメディアに対して、高橋理事長は事実をつきつけます。「三菱社誌」(1982年復刊)に残る「朝鮮人徴用1万2913、非徴用171」の記録、「協定は・・・賠償の意味を持っているような法律上の関係は一切ない」とする当時の椎名悦三郎外務大臣の答弁。事実による検証こそが大切なのです。高橋理事長は、日韓関係の真の解決策として、①事実の認定、②謝罪、③賠償、④次世代への継承を提起します。

本村伸子衆議院議員は、「どう考えても日本人の心を踏みにじるものだ」との河村名古屋市長発言に対して、「平和の少女像」が「慰安婦」被害者の歴史を記憶し、運動を継承するためのものとした『赤旗』の記事を紹介しながら、「何度も何度も被害を受けた方々を傷つける事態を何としても打開したい」と思いを語りました。またこの日、「表現の不自由展・その後」実行委員会が、一日も早い再開を求めて名古屋地裁に対して行政仮処分申請を行ったことも報告されました。