原爆症認定行政の抜本改正を求め名古屋市会意見書を全会一致で可決
名古屋市議会11月定例会において原爆症認定のあり方を抜本的に改めるなど法律改正を求める意見書決議が全会一致で可決されました。
この意見書は、要求項目にもあるように「被爆者の意見を十分に尊重するよう」、改正内容を厚労省任せではなく、被爆者の声を聞くよう求める内容となっています。
愛 友会が市会議員へ働きかけを行う中で、採択の動きにつながりました。意見書を提案した玉置議員(減税日本新政会・千種区選出)は、名古屋大学法学部法律・ 政治学科に在学中で、授業において被爆者裁判弁護士の樽井さんと、原告の高井さんから被爆行政や被爆の実態について話を聞きたことを話し、議会提案を約束 しました。
名古屋市当局は、被爆行政について冷たい態度をとってきただけに、市会で全会一致の意見書を提出できたことは、大きな変化です。また認 定行政と被爆の実相を語ったことから今回の動きにつながっただけに、被爆の実相を伝え広げる私たちの活動は、ますます重要となっていることを示すもので す。
名古屋市会2012年12月10日の本会議にて、全員一致可決
原子爆弾被爆者に対する援護にかんする法律の改正を求める意見書
67 年前に広島及び長崎に投下された原子爆弾は、幾多のとうとい生命を一瞬にして奪ったのみならず、一命をとりとめた被爆者にも、生涯癒すことのできない傷跡 と後遺症を残し、不安の中での生活をもたらした。被爆者は再び被爆者をつくらないという悲願を実現させるため、核兵器の廃絶と原子爆弾の被害に対する国の 償いを求め、国内外で運動を続けている。
国は、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づいて被爆者援護施策を行っているが、原爆症認定に 関する運用上の問題や、被爆者に高度な立証責任を要求するなどの制度設計上の問題が存在し、被爆者の救済が十分になされているとは言えない。これに対し、 被爆者が国を相手取った原爆症認定集団訴訟において平成23年12月までに下された7つの高裁判決を含む30の判決は、現行法の改正が急務であることを示 している。
また、原爆死没者及び全ての被爆者に対する一刻も早い国の償いを趣旨とし、再び被爆者をつくらないとの決意をこめた抜本的な改正を求める声も大きい。
よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、次の事項の実現を強く要望する。
1、 原爆症認定のあり方を抜本的に改めるなど、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律を速やかに改正すること。
2、 前項の改正に当たっては、司法判断及び被爆者の意見を十分に尊重すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。