2023年原水爆禁止世界大会 核廃絶へ若者たちとともに熱く燃えて

8月4日の国際会議で始まった2023年原水爆禁止世界大会に、7日にはメイン会場である長崎に愛知県からは86人が参加しました。残念ながら台風6号の影響で、大会の予定が短縮・変更される事態となりましたが、愛知県代表団は1人の落伍者もなく、代表の役割を果たして元気に帰ってきています。短縮されたとはいえ、中身の濃い時間でした。

「(国際会議宣言の)行動提案をいっそう豊かな内容をもつものに発展させることが、今日からのみなさんの討議に委ねられている課題」―開会総会の冒頭、冨田宏冶国際会議宣言起草委員長が、「主催者報告」を行いました。冨田氏は、ロシアがウクライナで行っている核兵器使用の危険と威嚇に、「国連憲章の原則を正面から踏みにじるもの」と断罪。同時に、G7広島サミットが「核抑止力」論を公然と主張してきたことに、「まさに被爆者と被爆地に対する愚弄」と糾弾しました。その上で、「国際的共同をさらに発展させて各国政府に条約参加を迫る運動を強化することが、『核兵器のない世界』を実現するもっとも確実な道」と訴えるのです。

鈴木史朗長崎市長は、「核兵器のない世界の実現は、被爆地・長崎の悲願であり使命です」とあいさつ、特別発言にたった小林節慶応大学名誉教授はウクライナをめぐる事態に、「核兵器が人類に対して再び使われる危険が高まっている今こそ、核兵器の非人道性を世界に明確に発信していく責任」を強調、G7広島サミットの「宣言」には「被爆者に対する冒とくであり、人類文明の進歩を妨げる愚挙」と切り捨てます。

8/8 閉会総会で発言する愛知の高校生

開会総会でのオーストリアのアレクサンダー・クメント大使、メキシコのサウル・サンブラー駐日大使とともに、閉会総会(ナガサキデー集会)では国連軍縮担当上級代表の中満泉事務次長、岸本聡子杉並区長があいさつしました。中満氏は「核兵器廃絶のために世界が一丸となってとりくむ努力」と説き、「今日の若者たちが変革者となれるよう投資し、エンパワーしていく必要」と、若者たちに期待をかけます。岸本氏は「核保有国や『核の傘』の下にいる国々でこそ核廃絶の運動が必要」と力を込めました。

今年の世界大会の特徴は、若者たちのがんばりです。開会総会では、福島で放射能汚染水の海洋放出に反対する運動を、東京からは被爆者が高齢化していく中で核兵器廃絶運動を受けついでいく活動を、それぞれ大学生が語りました。閉会総会では、全国から参加した高校生平和ゼミナールのメンバーがこれまでの活動を報告し、「私たちが望んでいるのは、核兵器も戦争もない平和な世界」と訴えます。愛知県の高校生も、平和ツアーや署名のとりくみについて発言しました。

特筆すべきは、本大会における平和委員会の仲間づくりでの奮闘です。世界大会直前の理事会で討議し、分担も決めてとりくみました。担当した役員だけでなく、多くの会員の協力も得て、会員9、「平和新聞」4、「平和運動」1の成果をあげています。みんなで築き上げた結果です。

原水爆禁止2023世界大会 第2・3・5分科会の報告

第2分科会 非核・平和のアジアを

第2分科会「非核・平和のアジアを」は、日本平和委員会事務局長の千坂純さんが基調報告をしました。アメリカは、日本・韓国と一体となり、核戦力を誇示し長射程ミサイルを配備して、アメリカの命令で他国を攻撃する態勢をつくろうとしています。日本では、核攻撃やサイバー攻撃に備えて自衛隊の基地強靭化や、大量の負傷者が出ることを想定して自衛隊員の血液が冷凍保存され、全国の港を基地にできるよう整備するなど戦争への準備が進む実態が報告され、亡国の政策から日本を救いアジアの非核化をと呼びかけました。

ドイツのライナー・ブラウンさんは、中国、ロシア、グローバルサウスの台頭など、世界の力のバランスが変化しているが、アメリカは世界を抑圧したいためにNATOを強化し、アジアやインド・太平洋地域との新たな同盟構築に踏み出し、中国・ロシアを取り囲み核戦力も含む軍事強化を行っていて、かつてない危険な状態と指摘しました。

韓国のオ・ミジョンさんは、核抑止力論でアメリカに守られていると、防衛と攻撃が表裏一体でアメリカの戦略に深く組み込まれている。日本と韓国が対中国の最前線にされないよう連帯しようと呼びかけました。

第3分科会 核兵器禁止条約への日本の参加を

「核兵器禁止条約への日本の参加をめざす運動」をテーマの第3分科会では、冒頭、冨田宏冶宣言起草委員長がミニ講演を行い、「日本政府の禁止条約批准は、国が一つ増えるだけの意味ではない」と日本の条約参加の重要な意義を語り、「禁止条約が国際法として機能し始めていることに確信を」と訴えました。

「8月の6・9行動で1356回」―京都。清水寺でとりくまれている、6・9行動を報告するのは、京都の被爆2世。各地域からの発言には、全国通し行進者の村上厚子さんはじめ13団体・グループが参加しました。「条約参加を求める意見書」を採択した甲府市議会、「禁だ協だと言ってる場合でない」と連合とも共同する長野ネット、署名全戸訪問の経験を話す群馬・安中のグループは「署名が楽しくなった」と語ります。平和行進最東端の根室からは、3日間に900kmを移動する苦労話も。

「日本政府が一日も早く条約に参加することを願って行進した」という村上さんは、各地で全自治体の要請行動が行われていることに感動したと述べ、広島市長の「平和宣言」には感動するとともに、サミット後の市民の怒りが市長にも伝わったのではと評価しました。

第5分科会 大軍拡と平和・くらし

どこへ行く岸田大軍拡―まず、安倍軍拡とは質が違うと言われました。なんと!今年の5月28・29日のアメリカ「タイム」誌の表紙に岸田首相が選ばれました。「岸田総理は何十年も続く平和主義を捨て去り、自国を真の軍事大国にしたいと望んでいる」と書かれています。これが世界での受け止め方です。

参加者からの発言で、「43兆円という額は、例えば1日1億円を使っても1129年かかる額なんだ」と。夏休みになると給食が無くなって子どもが瘦せてしまう家庭がある中で、お金は子どものために使ってほしいと強く思います。国は「異次元の少子化対策をする」と言いながら、軍事費にはドンとお金を出すばかり。

着々と戦争準備がすすめられ、米軍と「融合」する自衛隊となりつつあります。強力な平和外交で、「紛争を戦争にしない」枠組みづくりをしていかなければならないと学びました。早急に、岸田政権の本当の姿を伝えなければなりません。