あいち平和のための戦争展に1840人 再び戦争をくりかえさない
8月15日から18日にかけて、あいち平和のための戦争展が名古屋市民ギャラリー矢田で開催されました。1992年から開催され今年で28回目となり1840人の市民が訪れました。
今年は、「愛知空襲展」として特別展示を行い、愛知県下の空襲での実相や、とりわけ「愛知の防空体制」として市民の動員体制などを展示しました。隣接している東文化小劇場では、人業劇団ひらき座による公演「猫は生きている」や、ぞう列車が走って70年の記念となる今年「ぞうれっしゃがやってきた」公演に、小さな子どもさん、家族の姿が目立ちました。記念講演では、「ジャーナリストと憲法」として、東京新聞記者の望月衣塑子さんがお話しをし、多くの市民が参加しました。戦争体験の語り部として、広島の被爆体験や豊川海軍工廠の体験などが話され、高校生、大学生の参加者が熱心にメモを取っていました。
植民地主義の克服をめざして
あいち平和のための戦争展で16日行われたピースステージ「過去史清算―植民地主義の克服をめざして」に参加しました。
名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟弁護団事務局長の岩月弁護士が、「徴用工」の大法院判決について詳しく説明されました。昨年10月日本製鉄「徴用工」事件と11月三菱重工「勤労挺身隊」事件の大法院判決が問題にされていますが、2012年5月に大法院一次判決で「違法な植民地支配に直結する不法行為」や「反人道的不法行為」による損害賠償請求権は、日韓請求権協定で解決済みとされた個人請求権に含まれない、という法的判断がされています。新日鐵はこの判決が確定すれば賠償金を払う準備をし、日本政府も度々個人の個人請求権は消滅していない旨の発言をしていました。しかし2013年12月の産経新聞によれば、菅官房長官や岸田外相は、三菱重工業、新日鉄住金とも協議を重ねて、敗訴が確定しても賠償金を払わないように求めています。
岩月弁護士は、解決を妨害しているのは日本政府であることは明らかだが、国民も明治以来の朝鮮蔑視を克服しないと日本が東アジアで孤立すると危惧しました。
同訴訟を支援する会共同代表の高橋平和委員会理事長は、日本が朝鮮に対する植民地支配の不当性を認めず、支払われたのは「賠償金ではなく独立祝い金」としているなど、「日韓基本条約」とそれに基づく「日韓請求権協定」の問題点を指摘しました。
お話を聞いて、激しい「嫌韓感情」の前に正しいことが言えない、報道されないことが恐ろしくなりました。
平和委員会の展示
今年は愛知県平和委員会がめざしている平和つくりを基本テーマに展示を作成しました。その構想を常任理事会と理事会に提案し、論議しました。写真や絵を多く使い、見やすくなるように努めました。
内容は、米朝会談を例に、世界の流れは軍事でなく外交であることとの対比で、日本の安倍政権は軍事的強化を進めていることを示しました。全国的な米軍と自衛隊による軍事強化で、兵器のアメリカからの爆買いを示しました。また、愛知では三菱重工小牧南工場をF35ステルス戦闘機の整備拠点とし、多数のF35が飛来する可能性があること、などを示しました。そのうえでの県平和委員会の活動紹では、「5・3若者100人に聞きました、憲法アンケート」「高蔵寺弾薬庫一周平和マラソン」その他を示しました。
見た人の反応は良く、今後行われる戦争展・平和展で使用したいとの問い合わせがありました。また、見学に来た知り合いにすすめて、仲間づくりもできました。
平和のための戦争展 望月衣塑子講演会
国民の知る権利のために
「報道とは、権力とどう立ち合うかが大事」と早口ながら凛とした声が東文化小劇場ホールに響きわたります。17日午後、「戦争展」開催前から問い合わせの多かった「望月衣塑子講演会」が行われ、予想にたがわず会場は定員いっぱいの350人で埋まりました。
木で鼻をくくったような菅官房長官の会見での答弁に食い下がる望月記者の姿は、テレビ画面でも評判になりました。望月記者は、「望月の質問だけは制限したい」との官邸側の思惑と「その発言だったらさせません」の質問妨害の実態を明らかにします。官邸報道官は、「主観に基づき客観的・中立性に欠く」との抗議文を記者クラブに貼り出し、表現の自由にまで矛先を向けてきたのです。
「会見は、政府のためでもメディアのためでもなく、国民の知る権利のために」―モリ・カケ疑惑では「本当に聞きたかったのは安倍首相」と語り、辺野古埋め立て問題に政府側のデタラメな検査結果を追及しました。望月記者は、「権力側が隠そうとすることを明るみに出すこと」がメディアの務めと言います。
望月記者は、『読売新聞』に移ろうとした時の父親のひと言を紹介しています。「『読売』だけはやめてほしい」―「今の『読売』の姿勢を見ると、父のひと言のありがたさを感じる」と語る望月記者です。「つらい事件では思いが積もる。しんどくなって、車の中で行きも帰りもよく泣いた」―著書『新聞記者』で見せた人間臭さは、彼女の魅力となっています。