ノーモアヒバクシャ訴訟・最高裁弁論 2月25日判決へ 日本国民みんなの問題
原爆症認定を求めるノーモア・ヒバクシャ訴訟の上告審の弁論が、1月21日、最高裁第3小法廷(宇賀克也裁判長)で行われました。この裁判は、愛知(高井ツタエさん)と広島では高裁で勝訴し、残念ながら長崎では敗訴した裁判の上告審です。高裁で異なった判断を統一するために弁論が開催され、判決が2月25日15時に指定されています。
原爆症認定には、「放射線起因性」と「要医療性」という2つの要件がありますが、国は今回の3つの事件では放射線起因性は争わず、要医療性が問題となっています(原爆が原因で病気になっていることは認められているのです)。
原爆症を発症した被爆者に対して、「経過観察」をするだけで「要医療性」が認められるかどうか。国は、積極的な治療行為を行っていないと「要医療性」はないと主張していますが、放射線の影響で発症する疾病については未解明な部分が多いのが特徴です。医師が継続的にかつ適切に「経過観察」を行いながら被爆者を見守ることは、被爆者医療の中核といえます。また、要件を厳密にそして狭く解釈することは、国家補償的な性格を有する被爆者援護法に反しています。
今回の裁判は、もっとおおきな意義があると思います。日本の最高裁が、被爆の実相に目を向け、被爆者に寄り添った判断を下すかどうかが問われており、被爆者全員の問題、日本国民みんなの問題であると思います。核兵器廃絶に向けて国の姿勢を問うことになる、そんな裁判だと思います。
高井さんは、「法廷で、被爆者への差別に苦しみ、亡くなった夫にも被爆者であることを伝えられず、苦しんできたこと。多くの被爆者が健康被害に苦しみ、子や孫へも影響しないかと不安を抱えている。被爆者を助ける判断を下してください。原爆のような残酷な兵器が二度と使われることなく、世界からなくしてほしい。そのことが原爆によって命を奪われ、健康を奪われ、生活を奪われた被爆者の苦しみに報いることになる」と訴えました。