愛知サマーセミナー2024
関東大震災 朝鮮人虐殺の真相
7月14日、愛知サマーセミナーにて、日朝協会会長の関原正裕さんを講師に「関東大震災朝鮮人虐殺の真相」の講座が開かれました。教室の机が足りなくなり、他の教室からイスを借りてくるほど多くの受講者が集まり、その7割ほどが中高生でした。
関原さんは、埼玉県での虐殺事件に焦点をあて、話し始めました。埼玉では、東京に近い地域よりも熊谷や本庄などの北部で多くの虐殺事件が起きました。この地域では少なくとも100名の犠牲者が出ていて、県内では230名以上が犠牲になっていると話してくれました。
なぜ虐殺事件が起こったのか。震災後、朝鮮人を軍の施設に収容するために警察や自警団が埼玉北部へ移送していました。その一方で、震災後「朝鮮人が毒を撒いている」「爆弾をもっている」などのデマも流れていたため、移送されて来た朝鮮人に対し、自警団や村民が武装して虐殺が行われたのではないか、と語られました。
その根底には、当時、日本が植民地支配していた朝鮮の人々に対しての差別意識や日本の支配に抵抗する「テロリスト」のイメージがあったと考えられています。また、在郷軍人が先頭に立って自警団を組織していたことも虐殺に拍車をかけたのではないかということです。
虐殺に関わった人はほとんど逮捕されず、逮捕されて起訴・有罪となっても執行猶予付きの判決が出るなど、この事件が軽く、また無かったかのように扱われていたことが分かりました。
「戦争孤児を再び作り出さない」平井美津子さん
愛知サマーセミナーでは、7月13日(土)、立命館大学非常勤講師で大阪歴史教育者協議会常任委員の平井美津子さんを講師に、「戦争と子どもたち」と題して講座が開かれました。愛知大学車道キャンパスの会場は中高生でいっぱいとなりました。
「歴史は英雄だけが作るものではありません」と原爆被爆者や戦争孤児の証言を授業でとりあげてきた平井さん。とりわけ戦争孤児を多く扱ってきました。
広島原爆によって6500人ともいわれる孤児が生み出されました。この講座では「広島子どもを守る会」(毎月1000円の仕送りと手紙を送る)のとりくみの先頭にたった、山口勇子さん(のちに日本原水協代表理事)をとりあげました。85組の支援を成立させた山口さんは、85人の子どもたちの母親ともなり、支援活動にとりくみました。平井さんは「戦争孤児を再び作り出さないためにこの事実を風化させてはいけない」と訴え、聞き取り調査を行います。85組の内、10数名から話を聞いて壮絶な事実を知りました。ある方は「母親は原爆投下後、兄弟を探しまわり死に至った。父親は姿すら見つかることがなかった」と話しました。「『原爆は憎らしい』という証言が胸に突き刺さるのです」と平井さんは語ります。
そして平井さんは、ガザの現状を紹介し「いま世界の現状は本当に子どもたちを守れているだろうか」と高校生に問いかけます。そして「戦争を起こさないために、戦争の事実を知り、そして語り継ぐ必要があります」と語りかけました。