安保法制訴訟控訴審学習会 憲法守る司法の役割を控訴審に問う
3月24日に名古屋地裁が下した判決を、「原告・弁護団の主張・立証を一顧だにせず、憲法判断をしない全く不当な判決」として、安保法制違憲訴訟あいちの原告らは名古屋高裁に控訴しました。これを受けて「訴訟の会あいち」は、10月17日、控訴審に向けての学習会を行っています。会場のイーブルなごや第4集会室には、原告・サポーターら50人が参加しました。
控訴審に提出された「控訴理由書」は、実に81ページに及びます。学習会は、「控訴理由書」の骨子をなす「はじめに」を中心に進められました。「控訴審理由書を読み解く」として講師を務めたのは、弁護団事務局長の松本篤周弁護士です。
松本弁護士は、「安保法制によって重大な憲法9条違反、平和主義違反が行われているにも関わらず、違憲立法審査権を行使せずに司法の役割を放棄した不当な判決」と一審判決を断罪し、安保法制とその後に閣議決定した「安保三文書」が、「憲法全文を一字一句変えることなく戦争する国へ日本を変容させ今日の危機的事態を招いている」と指摘しました。そして、憲法を守る最後の砦としての司法の役割を求めるのです。
日本の司法が憲法判断に消極的な点について松本弁護士は、「裁判官は、国民に選ばれてないというためらいがあるのでは」と前置きして、「それは議員も同じで、議員は選んでもどんな法律をつくるかという点で選んだわけではない」と、参加者の質問に答える形で語りました。そして、かつての学者が司法の違憲立法審査権を「場合によっては判断できる」としていることに、弁護団として「判断しなければならない」と主張するのです。
「悲鳴をあげたいくらい不安です」―講義後の討論の場で、原告で視覚障がい者の梅尾朱美さんの発言が胸に迫ります。「私にとっての平和的生存権は、今日を安心して生きること」。本控訴審に参加している控訴人はこの日現在で約180人、控訴審期日はまだ未定です。