布施祐仁さん講演 軍事演習から予期せぬ衝突の危険

2/15 名古屋市教育館

2月15日、「あいち九条の会結成20周年のつどい」が名古屋市教育館で開催され、布施祐仁さんが、「加速する戦争準備――日米軍事一体化と避戦の道」と題して記念講演を行いました。内容を紹介します。

2月7日の日米首脳会談後、石破首相は、「力強く揺るぎない日米同盟のさらなる進化」と強調しました。石破首相の方から軍事費を増やすと言いだしているのです。対等な日米関係は吹っ飛んでしまいました。

トランプ大統領は「インド太平洋地域に『力による平和』をもたらす」と言いましたが、対中国を最大の課題とするアメリカにとっては、インド太平洋こそが最重要です。中国を封じ込めるため、九州・沖縄から台湾、フィリピン、南シナ海を結ぶ「第一列島線」上にミサイルの壁を築く作戦に基づき、南西諸島に自衛隊基地が置かれ、米軍のミサイルも展開しています。この作戦では、最前線に立つのは米軍ではなく、自衛隊が米軍の指揮統制下で攻撃を行うのです。まさに日米軍事一体化です。

日本では台湾有事の話題がくり返されています。これは米軍司令官が「中国が台湾侵攻の可能性」に言及したことから始まったものです。その後、米軍のトップはこの見方を否定しましたが、日本は煽られています。自民党の小野寺政調会長は「後は習近平がいつ指令を出すかという状況」「日米同盟が決定的に毀損するので、日本は米国の支援要請を断れない」とまで言っています。攻撃に加担すれば日本が戦場になることは避けられなくなります。国民の命より日米同盟を大事にしている政府は変えなければなりません。

実際のところ、米中は経済面で相互に依存しています。例えば、テスラは中国に300億円を投資して大型蓄電池工場を作りました。中国は貿易によって急速な高度経済成長をしてきたわけで、これを失うリスクを冒してまで台湾に侵攻する理由はないのです。

しかし、ジョセフ・ナイ元国防次官補は、軍事演習の繰り返しが、意図しないかたちで偶発的に紛争に発展する可能性を指摘しています。軍拡競争、兵器による威嚇こそが危険だと言うのです。それこそ、まさに私たちが避けなければならないことだと思います。日本の世論調査でも、政府がやろうとしている武力行使を望む声はわずかで、外交努力を求める意見が過半数です。これに向けて、私たちが積極的に動くことが必要です。