もはや「戦争国家」そのもの 日米共同統合実働演習キーン・ソード

防衛省資料によると、10月23日から11月1日にかけて日米共同統合実働演習「キーン・ソード」が全国23都道府県で実施されます。

しんぶん赤旗より転載

この演習の目的は「我が国防衛のための日米共同対処及び自衛隊の統合運用について演練・検証し、共同統合運用能力の維持・向上を図る」と発表されています。統合幕僚監部は「本訓練は、強固な日米同盟の下、日米の即応態勢及び相互運用性を向上させるもの」とし、「自衛隊と米軍は力による一方的な現状変更の試みは断じて許さないという強い意志の下、あらゆる事態に対応するための抑止力・対処力を強化し、我が国の防衛及び地域の平和と安全の確保に寄与していく」と述べています。

演習に参加する自衛隊員は約33,000人、艦艇約30隻、航空機250機と発表されており、米軍もイ

ンド太平洋軍、太平洋陸軍、太平洋艦隊、インド太平洋宇宙軍など12,000人が参加するほか、オーストラリア軍、カナダ軍も参加するという大規模な演習です。

沖縄など南西諸島では、日米のミサイル部隊による訓練が行われますが、航空自衛隊小牧基地でもそれに伴う訓練があり、同基地所属機による部隊が参加し、高蔵寺分屯基地や名古屋港で行われるとのことです。

10/9 小牧基地

防衛省資料(150頁余)の全体の特徴をメモしました。

▼統合防空ミサイル防衛に基づき、対中国、台湾有事を想定した訓練の

内容が色濃く見えます。

▼九州以南の地域では米軍のオスプレイや中距離ミサイルハイマースの参加があります。在日米軍基地が攻撃を受け破壊されても、中国への反撃を継続できるよう、島嶼にわたって展開する目的が強く見えます。

▼全国の海域上空で、侵入戦闘機への対応として、自衛隊の戦闘機部隊や輸送機、給油機が利用されます。

▼大分県、日出生台演習場では、輸送機による空挺降下訓練も行います。

▼上記の目的遂行のため、基地や弾薬庫の警護訓練も実施。とりわけ「基地警護」の名のもとに高射砲部隊が参加することに大きな違和感があります。

▼隊員や武器を前線まで送る輸送として民間船の活用など、名古屋港も大規模に活用される模様です。


愛知では以下のような訓練が計画されています。

▼小牧基地関連では、陸上作戦として、小牧基地、高蔵寺分屯基地において協同基地警備を実施。陸自隊員200人と空自隊員180人が参加。また、同基地所属の輸送機や給油機が参加し、10月29日(火)~30日(水)にかけて、北海道西方洋上、青森県沖、四国沖で訓練が実施されます。

10/9 名港管理組合

▼名古屋港では、民間船(PFI 船舶)「はくほう」「ナッチャン World」を活用して九州・沖縄への輸送が行われ、往路便が10月16日、18日、復路便が23日、26日に入港予定となっています。輸送対象は、陸上自衛隊の自衛隊地対艦ミサイル部隊、衛生部隊、空挺部隊及び航空自衛隊の高射部隊など、合計で人員278名、車両104両とされています。

愛知県平和委員会は、安保破棄実行委員会や地元団体と共に、10月9日、航空自衛隊小牧基地と名古屋港管理組合に対し、中止を求める申し入れを行いました。